導入事例

やっぱり甘くないのか?仮想化する理由、仮想化しない理由(後編)[08/06/06]

【日立ソフト主催 ワークショップセミナ 第2弾】
「やっぱり甘くないのか?仮想化する理由、仮想化しない理由」 後編
テーマ 「やっぱり甘くないのか? 仮想化する理由、仮想化しない理由」
日 時 2008年6月 6日 東京開催
2008年6月12日 大阪開催
2008年6月18日 名古屋開催
2008年6月20日 福岡開催
参加者 サーバー統合などの目的で仮想化システムの導入を真剣に検討しているエンドユーザ企業様21社
主 催 日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社
ファシリテーター
株式会社ナレッジサイン 吉岡英幸
 日立ソフト主催で「仮想化」をテーマに開催されたワークショップ。今回は、2月の開催に引き続き、第2回目になります。今回は、東京、大阪、名古屋の3会場に、新たに福岡を加え、全国4会場で開催。仮想化を既に導入されている企業、仮想化導入に真剣な企業を中心に、21社にお集まりいただき、仮想化のねらい、仮想化のメリット、デメリットについて、ディスカッションをしていただきました。この4ヶ月で、仮想化を取り巻く状況は進化したのか?それともやっぱり甘くないのか?各社の仮想化への取組みに関する最新のナレッジをレポートします。本レポートは前後編の後編です。
3.仮想化の新しい目的と可能性

◆急速に拡大する仮想化導入企業の裾野

 このような不安はあるものの、第1回の仮想化ワークショップから4ヶ月が経過し、状況も大きく変化している。まず感じたのは、仮想化を導入/具体的に検討している企業の裾野の拡大だ。

2月に実施した第1回ワークショップでは、仮想化導入済みの企業、導入を検討している企業にとって「サーバー台数の削減」は、緊急性の高い課題であった。部門や拠点ごとに際限なく増え続けるサーバーを、なんとかして集約・統合しなければならない、といった差し迫った状況があり、そのための解決策として仮想化を検討しているケースが多かった。具体的には、サーバーの台数にして数十台~数百台といったシステム規模だ。

ところが、今回参加した企業に現状を聞くと、そこまで多くのサーバーを抱えている企業ばかりではなかった。確かにコストの削減や、サーバーの管理/運用を効率化する上で、サーバー台数の削減を志向してはいる。しかし、緊急性はそこまで高くはないし、サーバー削減がゴールというわけではない。ゴールはあくまでもその別にある。そのように考え、仮想化に取り組んでいる企業が、今回のワークショップには多く参加していた。

それでは、「サーバー統合」とは別の視点の新たなゴールとは何だろうか。

◆冗長化対策としての仮想化
 まず、今回多くの企業が挙げていたのが、DR/BC(ディザスタリカバリ/ビジネス・コンティニュイティ)対策としての仮想化導入だ。

システムの冗長化は必要だが、すべてのシステムを物理的に二重化するとなると、コスト面でも環境面でも実現が難しくなる。しかし、仮想化を利用すれば、冗長化する上でのハードルを下げることができる。たとえば、待機系のサーバーであれば、稼動系とまったく同じ物理環境にしなくても、仮想化を用いて少数のサーバーで構築できるかもしれない。そうすることで、障害時や災害時の業務継続性を確保しつつ、ディザスタサイト構築に必要なコストを大きく削減することもできる。

実際にこのような目的を持って、基幹システムへの導入を進めている企業の例も、今回のワークショップで報告された。

◆メンテナンス工数の削減
 また、ある企業では、これまで、メンテナンスのためにユーザー部門に協力を仰いで計画停止をしなければならないことがしばしばあった。ところが、VMwareのVMotionなどの機能を利用すれば、ユーザーに気づかれないまま、ゲストOSとアプリケーションを別のハードウェアに移動させ、その間にパッチをあてることもできる。計画停止の数を削減できれば、運用においても大きな負荷の削減となるし、ユーザーに対するサービスレベルも向上する。サーバーのメンテナンスを効率的に行えるようになるのだが、このような運用は仮想化技術なしには考えられないだろう。こうした目論見を持って、仮想化への取り組みを検討している企業もあった。
◆開発環境の迅速な立ち上げ
 ソフトウェア開発の開発環境/検証環境を構築するときも、これまでは本番環境と同じ実機を用意し、同じ物理環境を作り上げる必要があった。ワークショップに参加していたある企業では、開発環境の立ち上げだけに、ハードウェアの調達などで1週間を要していたと言う。ところが、仮想化導入後は、本番環境を仮想環境下で再現したものを、開発環境とすることができるため、必要な時間は1日もあれば十分ということになる。このように開発環境の立ち上げ工数を削減し、スピードを速めることによって、ビジネスのスピードそのものを加速させることができるのだ。
◆ハードウェアに制限されないIT運用の可能性
 仮想化が実現するのは、ハードウェアに制限されないIT運用の可能性である。これまでのITは、ハードウェアという物理的制約に縛られていた部分が思いのほか大きい。ハードウェアの故障リスクは、その分、システムダウンのリスクを高めているし、サーバーのリソース配分も個別のサーバーごとに考えなければならなかった。

ところが、仮想化を使うことで、こうした制約から解放されることになる。複数の物理サーバーの間で、状況に応じてリソースの配分を行うことができるし、仮想マシンを短時間で立ち上げることができるため、状況に応じた可用性の高いシステムデザインが可能となる。

さらに、仮想化とブレードサーバーの相性は非常に良い。ブレードサーバー全体で、たとえばVMotionのような機能を使うことができるため、運用の自由度、柔軟性はさらに大きく高まる。もちろん、ブレードサーバーならではの、ハード面でのシンプルさも享受できる。部品点数も少なくなるため、物理的な故障リスクも大きく抑えることが可能だ。

これらはプラットフォームのシンプル化、標準化を加速させることになり、同時にITガバナンスを強化することにもつながる。

仮想化を語る際、仮想化ソフトそのものや、仮想化環境で稼動するアプリケーションのパフォーマンスに対する懸念から、不安の声が上がることが多い。しかし、サーバーを仮想化することで、システムの冗長性、可用性を高め、システム全体としての信頼性をより向上させることができるのである。

仮想化とは、サーバー台数の削減に代表される「ムダを減らす」技術というよりも、人的な面も含めて、システムのリソースの可能性を極大化させる方法論と言えるかもしれない。

(文責:株式会社ナレッジサイン 森天都平)

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