サーバ/ストレージの具体的な統合・移行計画の立て方[10/12/10]

【TIS主催】 次世代のIT運用を考える研究会
~持つものと持たざるものの最適なIT運用とは~
第4回  「サーバ/ストレージの具体的な統合・移行計画の立て方は」
~統合のメリットはもうわかった。どのような手順で統合し、どう移行するか~

日 時 2010年12月10日
参加者 次世代のIT運用について考える企業の情報システム部門リーダー 4名
主 催 TIS株式会社
ファシリテーター
株式会社ナレッジサイン 吉岡英幸
 TISでは、企業のCIO/情報システム部長が、今後のIT運用の体制についてディスカッションする『次世代のIT運用を考える研究会』を2010年7月より開催しております。第4回の研究会では、「サーバ/ストレージの具体的な統合・移行計画の立て方は」をテーマにディスカッションいたしました。その内容をレポートいたします。
◆現状の物理台数を何台削減できるかではなく、将来の増加率の抑制
 今回の研究会では、冒頭、長谷工コーポレーション様より、同社が2008年から取り組んだサーバ統合の事例が紹介された。この事例で注目すべきなのは、今後5年スパンでのサーバとデータの増加率をシミュレーションし、その増加率を抑制することをサーバ統合の期待するメリットとしたことだ。

サーバ統合がコスト削減の観点で語られるとき、一番わかりやすいのは、現在のサーバの物理台数を何台まで減らせるかだ。100台の物理サーバを仮想化によって半分の50台に減らしました。これによって運用コストも半分になります。というストーリーがわかりやすい。

今回の長谷工のケースでは、現状120台のサーバを、ブレードサーバなど89台に統合した。たしかに25%ほどの台数削減に成功したわけだが、それほど大きなインパクトではない。しかし、統合しない場合と比べると、3年後にはサーバ台数は半分以下に集約されるという。

その判断の材料となったのが、アセスメントによる試算結果である。運用担当者へのヒアリングをもとにサーバの環境、システムの運用状況など現状を調査し、さらにツールを用いてサーバの負荷状況やファイルサーバ内のデータの種類、使用方法を詳細に調査した結果、データ量が年69%の割合で増加し、このままいくと5年後にはサーバが300台を超えるであろうという試算が弾き出された。

長谷工のような建設会社では、CADなどの設計図面データや現場写真のデータなどが短期間で大量に増えていく。データ量やサーバ台数の増加率も高い。

このように、サーバ統合のメリットを考えるとき、現状のデータ量、サーバ台数だけを見るのではなく、将来の増加率を見る必要があるのだ。

◆サーバ統合に必要となるアセスメント
 長谷工の事例がそうであったように、サーバ統合においては、事前のアセスメントというステップが重要になる。現状のサーバの台数、使用状況を把握することで、まず将来的なデータやサーバ台数の増加率が予測できる。そのうえで、可用性、運用性、データの保全性、拡張性などを考慮して、最適な統合・移行の計画を立てるのだ。長谷工では、このプロセスに約半年間をかけている。長谷工では、SIerのアセスメント支援を受けたが、ユーザ企業の手で独自にアセスメントすることは可能なのだろうか。長谷工コーポレーション 技術推進部門 IT戦略室 チーフスタッフの中庭 照仁氏は、プロの第三者を活用することのメリットとして、第三者としての客観的な視点と、技術的な専門性を挙げている。

「自分達だけで描く未来予測は主観も入るため、客観性に欠け正しく算出できません。第三者の視点で見ていただくのは重要です。コンサルタントによるアセスメントを実施したことも経営を納得させる一つの要素となりました。」(中庭氏)

「アセスメントを実施した際に、ツールを活用しながら時間をかけて行った作業はデータの中身の把握です。どのようなデータがどこに偏在しているのかを把握しなければなりません。自分達では対応できない作業をSIerさんに行っていただきました。」(中庭氏)

プロの手を借りることで、効率的かつ正確にアセスメントを進めていくことが、サーバ統合成功の鍵と言えそうだ。

◆サーバ統合を進めるうえでの課題
 結果として統合されることで運用コストの削減につながるサーバ統合だが、初期投資が必要だ。少しでも効率的に統合することを考えた場合、サーバのリースアップのタイミングや、保守切れのタイミングに合わせるのが賢明だ。減価償却損が発生せず、新規購入とのコスト比較で投資できる。しかし、タイミングよくすべてのサーバが同時期にリースアップを迎えることは少ない。長谷工のケースでも、基盤を構築しておき、リースアップしたものから順次移行する方式をとっていた。そういう意味では、サーバ資産のライフサイクル管理が重要になる。また、仮想化を使ったサーバ統合の場合、議論に上るのがライセンス費用の問題だ。ソフトベンダーによってライセンスの課金の仕方は異なる。Oracleの場合、物理サーバのCPU数で課金される。Oracleの載ったサーバのCPUが20コアであった場合、20コア分のライセンス料が必要となる。Oracleと組み合わせて仮想化による統合を考える場合、頭を悩ませる問題となる。

TIS IT基盤サービス事業部 IT基盤サービス第2部の大河内 隆吉氏はこう助言する。

「Oracleの数がある程度サーバに存在していて、パフォーマンスが要求されるDBサーバであれば物理サーバにすべきです。一方である程度の数があり、それほどのパフォーマンスが要求されないのであれば、Oracle専用の仮想サーバを準備する手もあります。」(大河内氏)

◆ITの中期計画を見据えたうえでのサーバ統合
 サーバ統合は、ただ単純に増え続けるサーバをどうするか、という問題ではなく、自社のIT基盤をどのように整備していくか。ITの中期計画との兼ね合いで考えていくべき問題である。特に、IT運用は「いかにコストを削減するか」という観点で考えられがちである。これでは、IT部門は、コストセンターとしての価値しか持たない。サーバ統合によってIT基盤が整備されることで、ビジネスにどのような価値を提供できるか、を提示していくようにしなければならない。

研究会に参加するある企業は以下のように語っていた。

「IT部門がコストセンターの役割だけをずっと演じていると、会社の中の地位も低下していく。多少コストがかかってもサーバ統合のようなプロジェクトを行うことで経営も刺激を受ける。理解してもらうまでは大変だが、明らかにIT部門を見る目が変わる。IT部門も、『今どうするか』という考え方から『3年後、あるいは5年後どうするか』という考え方に変わった。こうしたプロジェクトの実行はIT部門の存在意義を示すためにも価値がある。」

サーバ統合を一つのきっかけとして、IT部門がしっかりとした中期計画を立てる機能を持ち、プレゼンスを高めることに結びつくのが理想の姿と言えるだろう。

(文責:株式会社ナレッジサイン 吉岡英幸)
 
●TISが提供するクラウドサービス『TIS Enterprise Ondemand Service』の詳しいサービス内容はこちらをご覧ください●2009年度に開催した「次世代IT基盤のロードマップを考える研究会」の総括レポートについてはこちらをご覧ください


●2009年度開催の「次世代IT基盤のロードマップを考える研究会」各会の内容は以下をご覧ください。
第1回 クラウド新時代に企業はどんなベネフィットを享受できるか「”持たないIT”がもたらす企業価値を考える」
第2回 クラウド新時代を見据えた自社IT基盤の課題を考える
第3回 「いち早く取り組む企業に学ぶ次世代のIT基盤の考え方」
第4回 「~IT基盤再整備どこまで手をつけますか?~IT基盤再整備のスコープを考える」
大阪編 「いち早く取り組む企業に学ぶ次世代のIT基盤の考え方」
第5回 研究会総括 自社にとって最適なIT基盤再整備ロードマップのつくり方

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