導入事例

【組織変革ファシリテーションの詳細事例PART2】厚生労働省補助事業 介護業界における人材確保推進のためのワークショップ 第1回

第1回フェーズ1 「ないないづくし」でネガティブな思いを吐き出させる

 

ワークショップ第1回の最初のフェーズでは、人材採用・定着について何が課題なのかを、各参加者に挙げていただきました。
ナレッジサインの組織変革ファシリテーションにおいて、ポジティブな変革プランを描いていく際に重要視していることは、「最初からポジティブなプレッシャーを与えないこと」です。

ビジネスの現場では、人間は常に、「ポジティブに考えないといけない」というプレッシャーにさらされています。このような中で、ファシリテーターから、ごもっともな論調でポジティブな姿勢を求められると、心の中では自信を持てないまま、「ポジティブに考えなきゃ」という意識が先行して、実行性の低いアクションプランを描いてしまうことがあります。
これでは内発的動機に裏付けられた本気のアクションプランにはなりません。

そこで、ナレッジサインでは、必ず最初にネガティブな部分を吐き出させるようにしています。最初はグチでも、傷のなめ合いでもいいのです。最初に全員がネガティブな部分をお互いに承認し合うことで、初めて安心して自分とポジティブに向き合うマインドが生まれてきます。

最初のフェーズで、人材採用・定着についての課題を挙げてもらううえで、課題を

・採用活動の改善
・人事/労務活動の改善
・経営の改善
・業界環境の改善

という4つのカテゴリーに分けて、できていないこと、今はまだないことを付箋紙に書いて、挙げていただきました。

この時にアウトプットの表現を「~がない」、「~ができていない」という風に「~ない」で統一します。これをナレッジサインでは「ないないづくし」と呼んでいます。

下図は、参加者に実際に書いていただいたものの代表的なものを挙げた例です。このように「~ない」と表現を統一するのは、ファシリテーションするうえで重要なポイントになります。
表現が自由だと、それぞれが同じようなことを違う表現で書いてしまい、発散して見えてしまいます。また、視点も異なり、問題現象や原因が混在しやすくなります。
「~ない」という風に表現を統一することで、問題現象を顕在化しやすく、同様なものも見分けやすくなります。さらに、直感的に考えることができるため、より思いの強い意見を表出しやすくなります。

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第1回フェーズ2 インフルエンサーとして自分にできることは何かを考える

 

参加者から出た課題は、下図のようなマトリクスで「影響度」、「解決難易度」の軸で分類してみます。付箋紙の色は、「採用活動の改善」、「人事/労務活動の改善」、「経営の改善」、「業界環境の改善」の各カテゴリーで色分けされています。
このようにして見ると、「経営の改善」、「業界環境の改善」といったカテゴリーの課題ほど解決難易度が高いものとして位置づけられることがわかります。

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このような課題認識は、介護業界や人材確保をテーマにした場合に限らず、あらゆる組織の問題として共通しています。ここで重要なことは、
「経営や業界の問題は、経営者じゃない自分がどう頑張っても限界がある。経営者に何とかしてもらわないと」と他責の発想になるのではなく、
「自分でも何かできるのではないか」と、自分の取り組むべきこととして、発想させることです。

ナレッジサインでは、こういう場合に、1つの課題に対して「コントローラー」、「インフルエンサー」という風に役割を2つに分けて考えるワークを取り入れています。

コントローラー:意思決定権を持ち、支配的に物事を進めることができる
インフルエンサー:意思決定権はないが、他者に影響を与えることで物事を進めることができる

たとえば下図のように、「人事専任職がいない」、「キャリアパスがない」といった課題は、人事異動や組織改変がからみ、担当者では意思決定できません。しかし、そのための試案を作ったり、意思決定に必要な情報を整備したりすることはできます。
このようにして、自分が意思決定権を持つコントローラーではなくても、影響を及ぼすインフルエンサーとして何ができるかを考えさせることで、徐々に自分が変革の当事者になる意識が芽生えてきます。

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第1回フェーズ3 1カ月で実行可能なシンプルなアクションを決める

 

本ワークショップは、1月、2月、3月と各1回ずつ計3回開催され、第1回から2回、第2回から3回の間はちょうど1カ月の間隔が空きました。
そこで、第1回の終わりには、1か月後の第2回までに実施する、人材確保のための具体的なアクションを決めるワークを行いました。
ここでは、下図のように、先に挙げた課題の中から短期的なもの、中長期的なものをそれぞれ1つずつ選んでもらい、それに対する解決アクション、キーパーソンとして巻き込む社内の人材、具体的なアクションの3ステップという形でアクションプランを描いていただきました。

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このアクションで重要視したのは、問題解決に対する有効性ではなく、アクションそのものの実現性でした。
組織変革ファシリテーションで重要なことは、大きなことをめざしてハードルの高いアクションに挑戦させることよりも、着実に実行する成功体験を味あわせることです。シンプルで、難易度の低いことでいいので、確実に実行することに意味があります。
実際に挙げていただいたアクションプランには、有効性としては少し疑問なものも多くありましたが、最初のステップとしては、有効性にはこだわりませんでした。

一方で、1か月後のゴールの定義では、「実行したかどうか」がはっきりわかるようにすることにこだわりました。
「経営理念が現場に浸透している」という表現では、実行できたかどうかが曖昧になります。
「経営理念を浸透させる勉強会を実施する」とすれば、実行できたかどうかが、はっきりします。
そうすることで、実行できたときに達成感を得られ、1か月後に集まったときに、グループメンバー間で成果を共有しやすくなります。
そのようにして、ワークショップの第1回を終えました。

(文責 ナレッジサイン 吉岡英幸)

※本ワークショップの詳しい内容については以下のページもご覧ください。
【組織変革ファシリテーションの詳細事例PART1】厚生労働省補助事業 介護業界における人材確保推進のためのワークショップ 企画・設計編
【組織変革ファシリテーションの詳細事例PART3】厚生労働省補助事業 介護業界における人材確保推進のためのワークショップ 第2回
【組織変革ファシリテーションの詳細事例PART4】厚生労働省補助事業 介護業界における人材確保推進のためのワークショップ 第3回

※今回のワークショップを中心とした補助事業全体の報告書はこちらをご覧ください。(報告書は本事業の受託元の日本総研様より発行されています)
平成26年度老人健康保健増進等事業「介護人材確保のために事業者等が行う効果的な取組みに関する調査研究」報告書

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