価値創造のために取り組む労働時間管理の適正化[08/07/14]

【日立ソリューションズ(旧 日立システムアンドサービス)主催】
人事/労務管理リーダーのための「ヒューマンキャピタル研究会」 第1回

テーマ 「価値創造のために取り組む労働時間管理の適正化」
日時 2008年7月14日
主催 株式会社日立システムアンドサービス
ファシリテーター 株式会社ナレッジサイン 吉岡英幸
参加者
労働時間管理の適正化に取り組む企業6社
 日立システムアンドサービスでは、このたび、人事/労務管理のリーダーの方にお集まりいただき、労務管理に関する互いのナレッジを交換いただく、「ヒューマンキャピタル研究会」を開催いたしました。第1回のテーマは「価値創造のために取り組む労働時間管理の適正化」です。適正な労働時間管理による、より強力なコンプライアンスへの対応が求められる一方で、フレックス制や在宅勤務など、ますます多様化する労働スタイルへの対応も求められています。こうした背景を踏まえ、研究会でも様々な議論が交わされました。その議論の一部をここで報告いたします。●次回のヒューマンキャピタル研究会の詳細はこちら
◆適正な労働時間管理によってめざすこと
【グラフ1】は「ヒューマンキャピタル研究会」参加企業が、適正な労働時間管理によってどのようなことを実現したいのか、その回答を集計したものだ。最も多かったのは「36協定など、コンプライアンスへの対応」である。
【グラフ1】
どの企業も厳正なコンプライアンス遵守を課しているものの、業務フローの中にリスクが潜むことは多い。
紙ベースで、従業員が直接就業時間を報告するフローの場合、「記録ミスがあとを絶たず、正確な労働時間を迅速に把握することが難しい」。また、全国に多数の事業場が点在している企業では、運用ルールが各現場のリーダー任せとなってしまっているため、労働時間の実態把握が困難だという。
業務フローそのものを見直さない限り、コンプライアンス遵守のリスクは容易に解決しない。
◆長時間労働の改善
 【グラフ1】に示す参加企業のアンケートで3番目に多い項目が、「超過残業時間をなくす」であった。さまざまな業種で長時間労働は恒常的な問題になっている。これについては、ワークライフバランスの実現などとも合わせ、裁量労働制や、フレックスタイム制、在宅勤務制度など、多様な就業制度の導入が対策の一つとなっている。今回の研究会では、在宅勤務制度を導入している企業の例が紹介された。在宅勤務制度の利点は、ただ単に通勤の時間を削減するだけではなく、在宅勤務の間に勤務を一時中断して育児や介護など、個人の時間に割り当てることができることだ。それによって、育児で休職していた女性従業員の復職など、就労可能になる人材が増えることにつながる。

一方、在宅勤務の場合、実質的な労働時間を把握することは難しくなる。在宅勤務に「みなし労働時間」を設定し、裁量労働制を採用するケースもあるようだ。

長時間労働に関して、本研究会では、対策の一端が紹介されたにとどまるが、長時間労働には、業種別に特性もあり、状況に応じたさまざまな対策が必要になる。本研究会では、これからじっくりとこの問題に取り組んでいきたい。

◆求められるマネジメント力
 在宅勤務制度など、新しい就業制度を運用していくと、実質的な労働時間の把握などでマネジメントの負荷は確実に増える。在宅勤務を導入している企業では、実際にマネジメントの負荷が増大したと実感する参加者もあった。在宅勤務に従事している部下が、その日行った仕事を一日の最後にまとめてメールで送信すると、マネージャーはその後でまとめて提出された仕事のチェック、管理を行わなければならない。一日中隣にいればひと言で済む報告のために、確実に余分な工数がかかってしまうのだ。

ただ、新しい制度の運用だけでなく、従業員の生産性を向上し、長時間労働の削減を実現するには、いずれにしても現場の管理職によりいっそうのマネジメント力が求められることは確かだ。いかに現場のマネジメント力を向上していくか、この研究会で今後議論すべき大きなテーマでもある。

◆適正なデータをいかに有効活用していくか
 適正な労働時間管理によって従業員の就業実態を知ることは、労務管理における諸問題を解決するために不可欠なことである。裁量労働制を導入している企業でも、「みなし労働時間」と実際の労働時間との間に大きな乖離がないか把握するために、労働時間は必ず記録しているという。適正な労働時間管理は、業務フローの見直しやシステム化によってある程度実現が可能だ。しかし、適正に把握されたデータをいかに活用し、労務管理における諸問題への解決策を導いていくかが重要である。

本研究会では、これから会を重ね、各企業の労務管理リーダーの知恵を借りることで、さまざまな労務管理の問題への解決策を示していく予定だ。

(文責:株式会社ナレッジサイン 吉岡 英幸)
※株式会社日立システムアンドサービスは、2010年10月1日付けの合併により、株式会社日立ソリューションズとして新たにスタートしました。
本レポートは2010年10月1日以前に公開されたもののため、レポート本文中の社名(日立システム)は当時のものとなっております。

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