導入事例

人材ビジネスにおいて守るべき秘密情報とは[05/06/16]

~派遣スタッフ数×派遣先の数だけリスクは拡大する~
「人材ビジネスにおいて守るべき秘密情報とは?」
日 時 2005年6月16日
主催 NECソフト株式会社
参加者 人材派遣ビジネス企業8社
運営 株式会社ナレッジサイン
 今回は、NECソフト株式会社主催のもと、ナレッジサインが企画・運営した人材派遣ビジネス企業を対象とした「個人情報保護」に関するワークショップの模様をレポートする。
◆個人情報の宝庫である人材派遣ビジネス
 個人情報保護法完全施行を機に、企業は保有する『個人情報』、『個人データ』の数に神経質になっている。無造作に収納された名刺など、従業員がランダムに持つ個人情報は良いが、体系的に整理された『データベース』は数が多くなればなるほど企業にリスクをもたらす。3~4年前にCRMが声高に叫ばれていた頃と比べると隔世の感がある。
そういう意味では、人材派遣ビジネスは「個人情報データベース」の宝庫で、それがビジネスのコア・コンピタンスである。個人情報保護対策に最もシビアに取り組まなければならない業種と言える。
従来から、『求職者』に関する情報は、むしろ民間の事業者の方がデリケートに扱ってきた。また労働者派遣法では、『事前面接の禁止』(労働者派遣法の第26条第7項)によって、派遣先企業が事前に派遣スタッフの情報に接することを事実上禁止している。そういう意味では個人情報保護の意識が元来強い業種である。
◆個人データを共有するというリスクを受容しながら、機密性を確保する
 しかし、人材派遣ビジネスというのは、業務の必要性から保有する個人データに、常に複数の人間がアクセスする必要もある。派遣スタッフの登録窓口はどの企業でも一本化しているが、派遣先の選定に関しては、各派遣先クライアントと接する営業員が、データベースを検索して閲覧する必要がある。データを変更したりできるのは、管理者だけだが、他のスタッフもデータにアクセスできなければ業務に支障が生じる。
そして、多くの組織では、営業員がそのまま自分の担当する派遣先に派遣されるスタッフのマネジメント役でもある。つまり、個人を特定した形で多くの個人情報をデータとして、また自分の頭の中に情報として持っているのである。
ほとんどのB2Cビジネスでは、顧客の個人データに関しては、属性だけであっても限られた管理者しかアクセスできない。しかし、これを派遣ビジネスに適用して、厳しいルールで縛って、アクセス不可にしてしまうのは現実的ではない。営業効率はもちろんのこと、求職者である派遣スタッフの就業の機会を逸し、派遣先と派遣スタッフとのミスマッチを呼び起こすことにつながるからだ。
人材派遣ビジネスにおいては、多くの人間が個人データを共有するというリスクは業務上受け入れざるを得ない。最低限、物理的な機密性を高めることが必要になるだろう。クライアントPCで個人データにアクセスすることは可能でも、ローカルにダウンロードできない、帳票出力できない、また、PCのデータを暗号化してロックをかけるなど。本ワークショップに参加した企業も、個人データ共有という運用上のリスクを受容したうえで、そういったクライアント・レベルの機密性をどう確保するのかに関心が高かった。
◆プライバシーマークの取得
 運用ルールや物理的な機密性に関する「どこまでやるべきなのか」という指針の一つにはプライバシーマークがある。最近では、派遣スタッフとして登録する際に、派遣元がプライバシーマークを取得しているかどうかが重要視されるようになってきている。
今回参加した8社のうち1社は既に取得済み。他にも3社が申請中であった。今は申請がラッシュ状態で、申請から取得までおよそ1年かかる。その需要を見越したのか、取得にかかる費用は昨年末に一挙に倍に値上がりした。
プライバシーマークを満たす条件を整備しようとすると大変だ。細部にわたる取り決め、運用の徹底など、正直うんざりすることが多い。それだけに、経営が強い意志を持って臨まないといけない。「とにかく取得するまでがまんする」スタンスではだめだ。
本ワークショップに参加するプライバシーマーク推進担当者も、現場ではさまざまな軋轢の中でその浸透に苦労している。ボトムアップでその機運が盛り上がる、というものではない。トップの後押しがあって初めて成功しているようだ。
◆本当の機密性を守る高度な判断が求められる
 しかし、プライバシーマークの取得に限らず、個人情報保護対策の目的は『お墨付き』や『看板』を得ることではない。個人情報漏洩によるリスクから顧客やステークホルダーを守ることである。
厳しく運用する余り、業務効率を阻害してモチベーションを低下させ、組織に「スキ」を生じさせては逆効果だし、「とにかくこれをクリアしていれば責任上問題ない」とコンプライアンス上責任の及ぶ範囲にだけ神経を尖らせ、それ以外への関心を低くしてしまうことは本末転倒である。
派遣スタッフによる派遣先の秘密情報の保持も重要である。現在は「誓約書」、「秘密保持契約」などで予防措置を図っているが、最終的には派遣元と派遣スタッフの信頼関係が必要になる。派遣先では実際にはいろんなトラブルがある。その相談に乗るのが派遣元の営業員や、担当カウンセラーだ。そのようなトラブル、悩み解決のためには派遣先で何が起こっているか把握する必要があるが、その際に、派遣スタッフと派遣先で交わす「秘密保持契約」が壁になることもある。
ルールを守って「事なかれ」ではなく、「当事者にとって実際にはどちらが安全か」という高度な判断がこれからは求められるだろう。
(文責:吉岡英幸)
●NECソフトのセキュリティ関連ソリューションのページ

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