導入事例

長時間労働を削減する具体策を考える[08/08/27]

【日立ソリューションズ(旧 日立システムアンドサービス)主催】
人事/労務管理リーダーのための「ヒューマンキャピタル研究会」 第2回

テーマ 「長時間労働を削減する具体策を考える」
日 時 2008年8月27日
参加者 企業の人事・労務管理担当者5名
主 催 株式会社日立システムアンドサービス
ファシリテーター
株式会社ナレッジサイン 吉岡英幸
 日立システムアンドサービスでは、人事/労務管理のリーダーの方にお集まりいただき、労務管理に関する互いのナレッジを交換いただく、「ヒューマンキャピタル研究会」を開催しております。第2回のテーマは「長時間労働を削減する具体策を考える」です。常態化する長時間労働の問題に頭を悩ませる企業では、具体的にどのような現象が発生しており、どのような改善策に取り組んでいるのでしょうか。率直な議論が交わされましたが、その一部をご紹介します。●次回のヒューマンキャピタル研究会の詳細はこちら
◆長時間労働が発生する要因
 長時間労働が常態化することにはさまざまな要因がある。一つは業務の仕組みの問題。決められた業務量が増えることによって、当然のことながら労働時間は増える。たとえば、研究会に参加したある企業では、以前はモバイルPCを自宅に持って帰ってもよかったものが、今はセキュリティのためモバイルPCを必ず会社に置きに帰らなくてはならなくなった。その分業務は増え、また、会社に帰ることで、「それならもうひと仕事」と、さらに労働時間が増えることになっている。

また、ホワイトカラーの生産性の問題も議論された。営業などのホワイトカラーの場合、業務の手順が明確に定義されているわけではない。従業員個々人の仕事の進め方にまかされているので、残業や長時間労働を問題視しない組織風土の中では、「もっと生産性を高めよう」という発想そのものが生まれにくい。

本研究会の参加者の一人は、「長時間労働が美徳であるという風土があり、しかもそこに喜びと誇りを感じているので、短時間で成果を上げることをめざす意識がない」と自社の風土について指摘していた。

たしかに、ハイパフォーマーの中に長く会社にいることが好きな人たちはいるが、現状の生産性を肯定していては、結果的に仕事の質の低下や、ひいては健康障害を招く危険性もある。

逆に、生産性が高いために長時間労働化してしまうケースもある。
今回はIT業界の参加者も多かったが、システム開発の仕事の場合、「できる人」ほど仕事が集中し、長時間労働化する傾向がある。「できる」=「生産性が高い」わけで、皮肉にも生産性が高いがゆえに、人より多い仕事を抱えてしまうことになるのだ。

長時間労働は過剰になるとコンプライアンス上問題になってくるだけでなく、モチベーションの低下や、やがて健康障害にも発展しかねない。たとえそれが自発的な長時間労働であったとしても、生産性の低い仕事は、業務全体の質を下げ、企業価値を損なうことにもなる。

◆長時間労働改善のための対策
 これらの問題に各企業はどう対処しようとしているのか。
まずは、従業員一人一人に生産性向上の意識を持たせ、全社的に生産性を問う風土を醸成していくことが必要だ。その旗振り役は労務管理部門になるが、やはりトップのコミットは欠かせない。一方、長時間労働削減の実践になると、現場のマネジメント層が鍵を握る。上記のグラフにあるアンケート結果でも、長時間労働が発生する要因について、大多数が「労働時間削減のためのマネジメントがうまくいっていない」と指摘している。

マネジメント層に労働時間削減への取組みを強化させるには、まずは、長時間労働の実態を認識させ、問題への対処を促すことであろう。

研究会に参加したある企業では、月次での労働時間を人事・労務部門が職場の上長にレポートし、超過勤務が著しい従業員がいる場合アラートを出すようにしている。

このやり方は短期的な効果を生むが、いずれまた同じ問題が発生しているようだ。先述した通りIT業界では、できる人間に仕事が集中し、長時間化する。緊急避難的には、一時的に他の人に仕事をふることで、これは改善される。しかし、やがてまた同じ人に仕事が集中してくるのだ。

これを根本的に解決するには、人材のスキルを底上げし、特定の人材に仕事を集中させず、均等な業務量を配分できる体制をつくるしかない。

そのためには、OJTにリソースを割く必要がある。研究会に参加したある企業では、一次的にできる人材の業務量を減らし、OJTのために割く時間を設けるようにしている。システム開発の場合、それはプロジェクトの収益性を一時的に悪化させることにつながるが、中長期的な収益性向上のためには必要な策であると考え、実践している。

◆マネジメント層の生産性向上への取組みを支援するために
 このように、マネジメント層が積極的に生産性向上に取り組むためには、組織としてのバックアップが必要だ。1つには、生産性向上をマネジメント層の評価に組み入れること。先述のように、生産性を高めるために、一時的に収益を悪化させることも有り得る。それで管理者としての評価を落とすとなれば、マネジメント層としても問題を先送りにせざるを得ない。制度的な取組みが必要だ。

また、人事・労務部門は、生産性の高いマネジメントをしている管理者を見つけ、その取組み内容を共有できるよう、積極的に情報提供するべきであろう。人事・労務部門が業務改革の指導をすることまではできないが、うまくいっている事例の情報提供ができれば、マネジメント層全体に生産性向上のための意識とノウハウを浸透させることが可能だ。

いずれにしても、長時間労働の問題に取り組むためには、まずは実態を正確に把握しなければならない。本研究会の第1回でも議論したように、客観時間と実労働時間の乖離をなくし、適正な労働時間を管理することが労働時間の問題解決の重要な一歩になる。

(文責:株式会社ナレッジサイン 吉岡 英幸)
※株式会社日立システムアンドサービスは、2010年10月1日付けの合併により、株式会社日立ソリューションズとして新たにスタートしました。
本レポートは2010年10月1日以前に公開されたもののため、レポート本文中の社名(日立システム)は当時のものとなっております。

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