PC、シンクライアント、DaaSの併存でクライアント運用を最適化する[10/08/30]

【TIS主催】 次世代のIT運用を考える研究会
~持つものと持たざるものの最適なIT運用とは~
第2回 「PC、シンクライアント、DaaSの併存でクライアント運用を最適化する」

日 時 2010年8月30日
参加者 次世代のIT運用について考える企業の情報システム部門リーダー 10名
主 催 TIS株式会社
ファシリテーター
株式会社ナレッジサイン 吉岡英幸
 TISでは、企業のCIO/情報システム部長が、今後のIT運用の体制についてディスカッションする『次世代のIT運用を考える研究会』を発足いたしました。第2回の研究会では、「クライアントの運用・管理」をテーマに、各社の「クライアントの運用・管理」の課題の現状。そして、シンクライアントを活用する目的について議論しました。
◆クライアント運用・管理の現状の課題
 議論の冒頭では、まず、研究会参加各社のクライアント運用・管理の現状について情報を共有した。各社のクライアント台数と運用・管理に従事する人員数を聞いたが、企業の状況によって運用・管理にどれだけの人員をアサインしているかは異なる。運用スタッフ一人当たりのクライアント台数も150台から500台までとさまざまだ。もちろん、専任担当だけでなく、兼任担当の場合も多い。また、台数も重要だが、拠点の数が、運用・管理に必要な人員に影響する。

クライアント運用・管理の主なタスクは、

・資産管理
・更新管理
・デリバリー
・権限管理
・セキュリティ対策
・ヘルプデスク対応
などだ。

この中で運用・管理の上の問題で大きいのは資産管理と更新管理のようだ。台帳の管理では全社のクライアントを正確に管理できない。多くの企業では資産管理ツールや更新管理ツールを導入し、オンラインで端末を管理し、パッチ適用なども自動化している。しかし、問題なのはオフライン端末である。

◆オフライン端末の管理
 全社のPC台数が数百台、数千台となると、すべてのPCの実態を把握するのが難しい。オフラインでパッチなどの適用が漏れているPCに加えて、現在どこにあるのか所在が不明な幽霊端末を含めると、資産管理ツールで十分に把握しきれていないPCが各社5%から10%近くに上るという。オフライン端末のバーションアップやパッチ適用は結局手作業になる。すべての端末をオンラインで管理できていない限り、更新用のCD-Romを持って全国の拠点を駆け回るということが現実として発生する。

手作業での更新を現場にまかせている場合でも、全社的な把握が必要だ。ある企業では、毎月各部門の担当者がチェックをしているが、専任の監査担当が、半年に1度一斉に監査をして全体の把握と現場での更新作業の徹底をしている。

一定期間オフラインになってしまった端末は、管理の対象外にしてしまう、という企業もあった。ネットワークから遮断してしまうため、スタンドアローン端末としてのセキュリティの問題は残るが、ネットワーク全体へのセキュリティへの不安は取り除ける。

そのようなリスクを避けて、ネットワークに繋がなければ使えない「ただの箱」にしてしまうのがシンクライアントだ。

◆業務システムの延命としてのシンクライアント活用
 これまでのシンクライアントに関する議論の中で、シンクライアント化の目的としてもっとも多かったのが以下の3つである。・セキュリティ対策
・クライアントの運用・管理の効率化
・ワークスタイル変革

今回の議論では、クライアント運用・管理の課題を議論のスタートに置いているので、クライアントの運用・管理の効率化という視点でのシンクライアントの導入に関心が高かった。

一方で、参加者の中から新しい観点でのシンクライアント活用の考え方が聞かれた。

クライアントOSの変更に伴う業務システムの改修を避ける手段としてのデスクトップの仮想化だ。

この企業では、現在Windows2000をクライアントOSとした業務システムがいつくか稼動しているが、次年度にはここに加えてWindows7をクライアントOSとした新しい業務システムが稼動する。

つまり、Windows2000とWindows7という異なるクライアントOSを使用する新旧のシステムが混在するわけだ。すべてのクライアントOSをWindows7に統一するとなると、Windows2000をクライアントとする業務システムをWindows7対応に改修しなければならない。

さもなければ、机の上にWindows2000とWindows7と2台のPCを並べて仕事をしなければならない。

業務システムをWindows7対応に改修するには、大きなコストが必要になる。

そこで、デスクトップの仮想化によって、1台のPCで仮想化されたWindows2000とWindows7を使い分けることで、新旧両方のシステムを使用する方法を採用しようとしている。これによって、従来の業務システムを改修する必要はなくなる。

これまでも、クライアントPCの延命という観点でシンクライアントを導入する例は多くあったが、今回のケースが違うのは、クライアントPCというよりも業務システムの延命のためにシンクライアントを導入することだ。

クライアントPCの延命という観点では、シンクライアント化投資に対して比較するコストの対象が、PC1台と比べてどうかであったが、今回のケースでは、業務システムをクライアントOSに対応して改修する際の費用が比較対象になる。当然、業務システムの改修費用に比較するとシンクライアント化投資はそれほど大きくはない。

いずれすべてのPCをWindows7に統一するに伴って、旧業務システムの改修費用は必要になるでああろうが、費用を段階的に分散させることで、投資額を吸収できる。

PCのWindows7対応を控えている企業にとっては、同様のケースが当てはまると考えられるので、このような手法は活用できるかもしれない。

◆クライアント運用・管理をどのように効率化していくか
 情報システム部門のIT運用タスクの中でもクライアントの運用・管理は大きなシェアを占める。果たして、クライアントの運用・管理は、価値のあるタスクなのか。情報システム部門が企業としての優位性に関わるシステムの開発や運用にリソースをシフトさせるために、クライアントの運用・管理というタスクは最小限のものであるべきと、参加企業は皆考えている。

その手段としてシンクライアントの導入やクライアントの運用・管理のアウトソースは有効と考えられるが、そのためには、クライアントの運用・管理に関わる作業コストを”見える化”する必要がある。

シンクライアント化を検討する際に、PC1台の購入価格と比較することは決して適切ではなく、クライアントの運用・管理に関する全工数をコスト換算したものと比較すべきであるということはしばしば指摘される。しかし、クライアントの運用・管理に関するコストを”見える化”していくことは難しい。

クライアントに関しては、情報システム部門のタスクだけではなく、現場でメンテナンスする工数も相当なものだ。クライアントの運用・管理に関するコストといった場合、これら現場での工数も兼ね合わせて考えるのが正確だろう。

実は、クライアントの運用・管理に限らず、IT運用の作業コストを”見える化”するという取組みはなかなか進んでいない。タスクの総量と人員数を挙げることはできるが、どのタスクにどれだけの工数がかかっているのか”見える化”し、効率性の面で適切かどうかを分析する作業は手つかずのままの企業が多い。それに手をつけようとすると、情報システム部門のフルアウトソースを検討する際のアセスメントに相当する作業が必要かもしれない。

ただ、シンクライアント化の検討のためだけではなく、これからのIT部門は、自分たちの価値を説明し、経営に対して適切な投資判断資料を提供する役割を果たすために、IT運用の内部作業コストを”見える化”してく努力が必要になるだろう。

引き続き本研究会でもこのテーマを議論していきたい。

(文責:株式会社ナレッジサイン 吉岡英幸)
 
●TISが提供するクラウドサービス『TIS Enterprise Ondemand Service』の詳しいサービス内容はこちらをご覧ください●2009年度に開催した「次世代IT基盤のロードマップを考える研究会」の総括レポートについてはこちらをご覧ください


●2009年度開催の「次世代IT基盤のロードマップを考える研究会」各会の内容は以下をご覧ください。
第1回 クラウド新時代に企業はどんなベネフィットを享受できるか「”持たないIT”がもたらす企業価値を考える」
第2回 クラウド新時代を見据えた自社IT基盤の課題を考える
第3回 「いち早く取り組む企業に学ぶ次世代のIT基盤の考え方」
第4回 「~IT基盤再整備どこまで手をつけますか?~IT基盤再整備のスコープを考える」
大阪編 「いち早く取り組む企業に学ぶ次世代のIT基盤の考え方」
第5回 研究会総括 自社にとって最適なIT基盤再整備ロードマップのつくり方

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