NEWS/CASE STUDIES/INSIGHT

英語でのファシリテーション・トレーニングでのグローバル人材育成教育事例【富士通株式会社様】

富士通様は、国内ITベンダーの中でも、早くからグローバル展開に取り組み、着実にグローバルでの経営基盤を拡大しつつあります。そんな富士通のグローバル競争力を支えるのが、社員に対する、積極的なグローバル人材育成、グローバルリーダーシップ教育です。

特に、本社人事部が主導するグローバル人材育成の教育研修だけでなく、事業部門が独自に実施する教育プログラムの中に、グローバル人材育成のカリキュラムを取り入れているところが、グローバルでの強さの秘訣で言えるでしょう。
そのような中、ナレッジサインでは、富士通の知財部門に対して、「英語でファシリテーション」する力をつけるためのワークショップを実施し、同部門スタッフのグローバルでのプレゼンスを高める支援をさせていただきました。

●お客様:富士通株式会社 知財部門
●ワークショップ実施:2017年12月6日
●対象:知財部門の主要メンバー 12名
●目的:グローバルなステークホルダーと協働を促すための、英語でのファシリテーションスキルを身につける

富士通の知財部門では、富士通グループ全体の知的財産に関する戦略を立案し、各グループ会社と協力して、中長期ビジョンのもと、グループ経営を強力に後押しする知的財産戦略を推進しています。
グループ全体のビジョンにもとづいて知的財産戦略を推進していくためには、海外のグループ会社と連携する必要性も多く、グローバルミーティングを主導していくことが求められます。

もちろん知的財産の専任セクション同士でのグローバルな連携も必要ですが、知的財産に関する方針は、あらゆるセクションで共有されている必要があります。ですから、関わるステークホルダーも多様で、それだけに、あらゆるステークホルダーと最善の協力関係を築いていくためのファシリテーションの力が必要です。
そこで、英語でのファシリテーションスキルを高めるべく、SPOT on Facilitationの1日コースを、知的財産イノベーション統括部のメンバー10数名を対象に、SPOTlight on Facilitation 1-day Workshopとして開催しました。

本ワークショップは、Native English Speakerのファシリテーターである、Jacob Erlichと、日本語・英語のバイリンガル・ファシリテーターである、吉岡英幸の2人のコ・ファシリテーションによって、すべて英語で行われました。

受講者は全員日本人ですが、ワークショップはすべて英語で進行し、ワークショップの教材もすべて英語で記述されています。

まずは、英語で自己表現することに自信を持つ

本ワークショップは、ファシリテーションの基本について、インタラクティブなグループワークと、ケースに対するファシリテーションのデモ演習を中心にファシリテーションの基礎を学習していきます。
皆さん、普段英語を使って海外のスタッフとやり取りはしていますが、一日フルで英語での研修を受講するのは初めての方が多く、最初はやや緊張した雰囲気で始まりました。

SPOT on Facilitationは、シンガポールで開発された、グローバルスタイルのファシリテーション学習のワークショッププログラムで、「教わる」のではなく、受講者自らが積極的に「学び取る」Adult education principlesという理念を大切にしています。
ですから、講師が受講者に積極的に問いかけ、講師と受講者とのInteractionを促進します。

通常日本で実施するスキル研修では、講師と受講者との双方向のコミュニケーションは、質疑応答の時間に限られることが一般的ですが、グローバルスタイルの研修では、講師と受講者は常に双方向でコミュニケーションし、受講者が積極的に講師に質問したり、気づきをシェアしたりすることで、受講者自身が全体の学習効果を高めることに貢献する、というのが一般的な受講姿勢として定着しています。

今回のワークショップも、そのようなスタイルで進めていきましたので、最初は受講者にも戸惑いが見られました。すべてのコミュニケーションが英語なうえに、自ら手を挙げて積極的に発言することが求められる。より強いプレッシャーを感じる環境に置かれるわけですが、それを乗り越えることで、徐々に英語での自己表現にも自信が出てきました。



議論の内容ではなく、議論のプロセスにフォーカスするというマインドセットへのチェンジ

本ワークショップでは、グローバルに共通するファシリテーションの基礎を学びます。プログラムはおおまかに以下の要素をカバーします。
・ファシリテーターの役割とは何か
・ファシリテーターの基本行動とは何か
・ファシリテーションの基本的なステップとは何か
・ファシリテーターが常に気を配るべきポイントとは何か
・発散や収束の議論で有効なツールの使い方とは

ファシリテーターの役割とは、議論の内容(Content)ではなく、プロセス(Process)をリードすることです。ファシリテーターは常に、「何が議論されているか?」よりも「どのようなプロセスで議論されているか?」にフォーカスします。

「議論をリードする」という表現を使うと、議論の中で影響力を持つ、あるいはより多くの参加メンバーに指示されるように意見を発言する、という風に解釈する傾向があります。
特に日本人が、海外で外国人と議論をする際には、「声の大きい外国人に圧倒されずに、議論の主導権を握るにはどうしたらいいだろうか?」という発想になりがちです。

議論の一メンバーとしては、それは大きな課題ですが、今回の受講者のようなグローバルリーダーに求められる役割は、「参加者個々の積極的な姿勢を引き出し、議論によってグループの創造性を高めること」です。まさにファシリテーターの役割なのです。

本社が主導するグローバルミーティングでは、「本社のポリシーを浸透させる」という目的が掲げらることが多いので、ともすれば「いかに海外のグループ会社のメンバーを説得するか」という視点で議論に臨みがちですが、ファシリテーターとして、議論のプロセスにフォーカスし、最適なプロセスを実行することにコミットすることこそが、グローバルリーダーの役割であるというマインドセットを、まず最初に刷り込んでいきました。

そのうえで、最適なプロセスをデザインするためにはどうすればいいのか、ツールやテクニックについて学んでいきました。



自由でリラックスしたブレーンストーミングの影には、ファシリテーターの綿密なプロセスのデザインがある

それでは、プロセスをデザインする、プロセスをマネジメントするとはどういうことなのか。
一般になじみの深いブレーンストーミングのプロセスデザインを例に見ていきましょう。

ブレーンストーミングは、制約を設けずに自由な発想を促進するものですが、自由で創造的なブレーンストーミングを実現するからこそ守られるべき約束事があり、それを意識してプロセスをデザインするのがファシリテーターの役割です。
今回のワークショップでは、実際にグループでブレーンストーミングを実践してみて、それを振り返りながら、どのようなプロセスでブレーンストーミングをしていくと、より創造的で効率的なのかを学んでいきました。

たとえば、多人数過ぎても発言機会が限られ、少人数過ぎても盛り上がりません。全体の参加者が多い場合に、グループを分けて同じテーマでブレーンストーミングすることがありますが、その後に重複するアイデアをどのように統合していくかも考えなければなりません。
また、フリップチャートへの書き方一つとっても、グループ内、グループ間での共有のしやすさがまったく違ってきます。

このように、自由気ままにやるイメージのあるブレーンストーミングも、細やかにプロセスをデザインすることで、よりその効果は高まります。

特にグローバルな舞台では、参加者が多様性に富むため、その多様性を生かしたアイデアの表出を促進するとともに、出されたアイデアを全員が共有しやすい形に見せていくことが必要です。ファシリテーターのプロセスデザイン次第で、その効果は大きく違ってくるのです。

3つのO【Objective, Output, Outcome 】が大事

会議をするうえで、一番重要なことは、「目的とゴールが明確か」ということです。日本では定例会議というものが多く、取り立てて議題がなくても毎週決まった時間に会議を開いたり、職場で何か問題があると、どのように解決するのか、誰が責任を持って取り組むのか、事前に考えることなく「とりあえず会議室に集まろう」というスタイルで会議が始まったりしますが、それをそのままグローバルな場に持ち込もうとするとうまくいきません。

「この会議の目的は何なのか?」
「会議のゴールは何なのか?」
「私が会議に参加しなければならない理由は何か?」

本来、日本か海外かを問わず、これらの質問に明快に答えられなければ会議を開催する意味はありません。しかしながら、日本では会議で自分の時間が奪われるということに比較的寛容なため、目的やゴールが曖昧でも会議が開けてしまいます。

本ワークショップでは、会議に臨むにあたって明確にすべき3要素を以下の3Oで表しています。
Objective:目的
Output:会議における成果物
Outcome:会議を経てビジネスで達成すべきもの

Objectiveはまさに、何のために会議室にいるのか? Outputは、どんな成果物が出来上がったら会議室を出られるのか? Outcomeは、会議室を出た後にビジネスで何を達成するのか?
会議というものは、ビジネスで何がしかの成果を残すための一つのプロセスです。会議自体には目的がありますが、それを達成することが、ビジネスでめざしていることではありません。Outcomeは、Objective, Outputに整合性があるかを測る物差しと言えるかも知れません。

ワークショップの後半では、チームごとに与えられたケースに沿って、ファシリテーター役、参加者役、オブザーバー役をローテーションするロールプレイング演習をします。このときに、ケースに対して適切な3Oが設定されているかが問われます。
Objectiveが単なるtopicになっていたり、Outputが定性的過ぎて曖昧になっていたりすると、参加者役は、議論にうまく参加できません。

会議をうまく回していくために、まずは会議参加者に求められていることを、英語の表現で、簡潔にしかもわかりやすく表現するためにはどうすればいいのかを、実践の中で学んでいきます。

このようなワークショップを通じて、
・ファシリテーションとは?
・ファシリテーションにおける英語表現とは?
・多様な人々のグループに対してファシリテーションするために必要なことは?

を学んでいきました。



関連記事

POST CATEGORIES

UPCOMING EVENTS

ページ上部へ戻る