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オンラインワークショップ開催レポート (SPOTlight on Facilitation & Management 3.0)

This post is also available in: English (英語)

2020年4月現在、コロナウィルスの影響でテレワークが多くなり、オフラインのワークショップやイベントをオンラインに切り替えることが多くなっています。

ナレッジサインでも、2020年3月にかけて、オフラインで予定していたいくつかのワークショップをオンラインに実施するトライアルに取り組みました。

今回は、そのトライアルを経て気づいたこと、オンラインでのワークショップの可能性についてレポートいたします。今後オンラインでワークショップ・イベントを計画している方にもお役に立てるヒントを提供できればと思います。

オフラインの代替というよりもオンラインとオフラインをハイブリッドした新たな価値をデザインする

まず、多くのファシリテーターやイベントオーガナイザーが指摘していることですが、オフラインで得られる価値をそのままオンラインで再現しようというよりも、オフラインとオンラインは、別の価値があると考え、うまくハイブリッドすることで、新しいイベントのあり方を開発していくことがいいように感じます。

オフラインにはないオンラインの良さと、オフラインの持つ良さをうまくミックスして、オンライン+オフラインで、これまで提供できなかった価値を提供できるように、ワークショップをデザインするという考え方です。

ナレッジサインでは、英語でのファシリテーションワークショップ “SPOTlight on Facilitation”と、Management3.0のワークショップを、オンラインとオフラインをハイブリッドした形で新たにデザインし直して、実施しました。

オンラインワークショップのビデオ会議ツールとしては、多くのファシリテーターがZOOMを使っています。やはり多人数でのビデオ会議を前提にデザインされており、参加者がグループに分かれて議論することができる、ブレイクアウトルーム機能なども充実していますので、ワークショップ向きと感じます。

オンラインワークショップのプロセスをデザインするうえで、以下のような考え方で、ワークショップの構成を整理してみました。

進行の仕方を「講義形式」と「グループワーク/相互コミュニケーション」と、大きく2つに分類し、目的や場面設定で、オンライン向きとオフライン向きで4分類しました。

SPOTlight on Facilitationは、ファシリテーションのワークショップですが、学ぶことは大きく、以下の4つの領域になります。

・Knowledge (知識)
・Practice (行動)
・Tools/Technique (ツール/テクニック)
・Process Skills (プロセスを進行するスキル)

オフラインのプログラムでは、上記の4つの学習領域に対して、それぞれ「講義形式」と「グループワーク/相互コミュニケーション」の進行があり、どのようにオンラインとオフラインを組み合わるかを考え、全体のプログラム進行を決定しました。

主に知識面、行動面をオンラインでカバーし、行動やプロセス進行のスキルは、リアルでの演習の役割が大きいため、オフラインでカバーすることにしました。

また、ツール/テクニックは、フレームワーク化されたものが多く、オンラインでも概要は理解しやすいのですが、アナログな環境で実践する方が理解しやすい面があるため、オンラインとオフラインをうまく組み合わせるようにしました。

そして、以下が、オンラインワークショップのセッション1のプログラム進行です。

0:00~0:10 開会のあいさつ&アジェンダの説明
0:10~0:15 レクチャー:ZOOMの機能説明
0:15~0:30 参加者自己紹介
0:30~0:40 ZOOM投票機能を使ってEntry survey
0:40~0:50 ペア・インタビュー(ブレークアウトセッション)
0:50~0:55 ペア・インタビュー振り返りの全体ディスカッション
0:55~1:10 休憩
1:10~1:20 レクチャー:ファシリテーターの基本行動について
1:20~1:50 個人ワーク(Survey Monkeyでサーベイ回答)
1:50~2:10 グループディスカッション(ブレークアウトセッション)
2:10~2:30 全体で振り返りのディスカッション
2:30~2:40 クロージング

一見、オフラインのワークショップとあまり変わらないように見えると思います。

一方的な講義中心のWebinarと違って、ワークショップでは参加者同士のInteractionが必要ですので、オンラインでもInteractionの多い進行にしています。

ビデオ会議ツールでディスカッションに慣れている方は、違和感なくオンラインでのディスカッションに入っていけますし、ZOOMにはブレイクアウトルーム機能というものがあり、全参加者を複数のグループに分割し、少人数でのグループディスカッションをすることもできます。上記のブレークアウトセッションというところがそうです。

また、10名前後ぐらいの参加者であれば、ZOOMのギャラリービューを使うと、PCの画面で全員の顔を見られますので、一体感を持ちながら全体ディスカッションもできます。

このようにワークショップのプロセス自体は、オフラインと非常に似た構成のものが可能です。

ただ、オフラインとオンラインでは、参加者の集中の仕方が違いますので、参加者を飽きさせない工夫が必要です。

オンラインの場合、声の大きさがある程度均等になるので、誰かの発言に対する集中度は高まるように感じます。一方で、集中している分、疲れも増すので、集中力の持続が難しく感じます。つまり、短く集中できる環境を提供することが大事です。

ですから、自己紹介の時間、レクチャーの時間など、誰かの発言を一方的に聴く時間は、オフラインの場合よりも短めにしています。

また、技術的な話になりますが、、ZOOMのブレイクアウトルーム機能では、オフラインのワークショップのように、ホスト役のファシリテーターが全体のグループを俯瞰して見ることができません。

各グループでどんな議論をしているかを知るためには、それぞれのグループの部屋を行ったり来たりしないといけません。まさに別室でグループワークしている感じです。

ですから、ファシリテーターの手厚い介入なしに、グループディスカッションが自然と盛り上がっていくようなグループワークの仕掛けが必要です。

さらに、今回はZOOMの投票機能を使って即席で簡単なアンケートを実施したり、SurveyMonkeyなどのWebサーベイを使って、40問ほどのサーベイをその場で実施して、リアルタイムに集計結果を見せたりなど、いろんなツールと組み合わせることで、インタラクティブにワークショップを楽しめるものにしました。

その他にも、Googleスライドで全員で一つの画面に対して入力したりなど、他のツールと組み合わせることで、オフラインではできない、ダイナミックなワークができることが、オンラインのメリットです。

ナレッジサインでは、今後もさまざまなワークショップを、オンラインとオフラインの両方をミックスしたもので実施していきたいと考えています。

オンラインワークショップ運営のTips

これまでのオンラインワークショップの経験から、オンラインワークショップを運営するうえで気を配るべきポイントを以下に挙げます。

1.ホストのロケーションのWifi環境を事前にチェックしておく

ホストのネット環境が充実していないと、オンラインの良さは引き出せません。使い慣れている自社オフィスからホストする場合はいいですが、ワークショップ会場から中継する場合など、会場のWifi環境事前にチェックしておくことが重要です。ワークショップで使う会場では、多くの場合、Wifiが2.4GHzで、アクセスできるノード数も制限されているため、接続が時折切れるということが発生します。ホストのロケーションのWifi環境をしっかりチェックしておくようにしましょう。

2.共同ホストのテクニカル・コファシリテーターが最低一人は必要

オンラインでのワークショップでは、実際に議論を回すファシリテーション以外にさまざまなタスクが必要です。そのタスクを担うコ・ファシリテーターの存在が欠かせません。

タスクその1:チャットモニター

メインファシリテーターはどんどん流れるチャットをモニターしながらはファシリテーターすることはまず無です。コ・ファシリテーターが、チャットに流れて来る質問などに随時回答したり、メインファシリテーターにレスポンスを促したりsる役割をしないといけません。

タスクその2:ミュート状態のモニターやスポットライト機能の操作

オンラインワークショップでは、スピーカー以外は基本的にマイク・ミュートした方がいいでしょう。参加者に最初にその旨をお願いするのですが、ミュートすべき時にミュートしてなかったり、解除すべき時に解除してなかったり、ということが多々発生します。その都度「ミュートしてください」と言うのは大変ですので、コ・ファシリテーターが、共同ホスト権限でミュートコントロールすることが必要です。

また、ZOOMの有料アカウントでは、ホストが任意の参加者にスポットライトを当てて、メイン画面に固定することができます。スピーカービューで声を出した人にどんどんと画面が切り替わるということを避けたい場合にこの機能は便利です。そのような操作もコ・ファシリテーターの判断でできると効率的です。

タスクその3:その他テクニカル面のサポート

ファイルをチャットで即座に共有したり、投票機能を軌道させたりと言ったテクニカルな操作に加えて、参加者のテクニカルな問題を修正するなど、セッション中もろもろとテクニカル面で気配りをすることがたくさんあります。

3.自分のマイク音声のモニター

ビデオ会議システムで、マイク付きイヤホンを使用する場合、マイクを通した自分の声を聴くことができない場合が多いです。これが気にならない方も多いのですが、やはり長時間のオンライン会議やワークショップに参加する場合、自分の声がちゃんと聞こえないのは、ストレスになります。

PCの場合、Windows設定で、マイク音声をモニターする機能がありますが、ディレイが発生してしまうので、どうしても違和感があります。

私は、オーディオインターフェースというものを使って、これを解決しています。

写真のようなもので、マイク音声を聴ける小さなミキサーのようなものです。これを使うことで、自分のマイク入力の音声と、PCの出力音をバランスを調整しながらモニターすることができて快適です。

 

ZOOMのセキュリティ面で必ずやるべきこと(2020年4月7日追記)

2020年4月現在、ZOOMにおけるセキュリティでさまざまな問題が指摘されていますが、大きくは2点あります。

・ZOOMのアプリケーションにおける、外部からの侵入に対する脆弱性

・運用面でのセキュリティリスク

前者に関しては、いくつかの外部侵入の脆弱性が指摘されていましたが、ZOOMの方でアプリケーションをアップデートすることで、日々対応しているようです。

後者の運用面でのセキュリティリスクですが、ホストの不用意な運用によって、ZOOMセミナーなどで招かれざる参加者が不適切な動画を画面共有するなどの、いわゆるZOOM爆弾事例が発生していますが、これは運用側の注意でほぼ防ぐことができます。

ZOOMで会議やワークショップを開催する方は、最低限以下のことを守るべきです。

・マイ個人ミーティングには必ずPWを設定し、随時(できれば毎回)変更する
・臨時のミーティングは、その都度ミーティングIDとPWを発行し、終了したミーティングは削除する
・ホストより前の参加を有効にしない
・待機室機能を有効にし、アクセスしてきた方が事前に登録した方かどうかを確認してから入室を許可する
・画面共有は基本はホストだけにしておき、会議がスタートしてから設定を変える
・Webinarなどの場合、ミーティングIDやPWを一般公開しているWebページに絶対掲載しない
・PWが埋め込まれたアクセスリンクを発行しない
・正式にWebinarに申し込んで悪さをする参加者を特定きるように、Webinar登録時に登録者のメールアドレスなど、トラッキングできる情報を入手しておく。

上記のことを徹底することで、ハッキングのような高度な侵入ではない、招かれざる客が不適切な行為をすることをほぼ防ぐことができると考えられます。

オンラインにおけるエンゲージメントをどう考えるか

ワークショップやファシリテーションでは、参加者同士、参加者とファシリテーターとの間のエンゲージメントが必要です。つまり、いい具合に盛り上がれるか、集中できるか、ということです。

オフラインの場合、参加者の表情や息遣いを、よりリアルに感じることができますが、オンラインの場合、どうしてもPCやスマホの画面越しだと、そこまでの臨場感は味わえず、本当に参加者がエンゲージメントしているかどうか、不安になりがちです。

私は個人的には、「オンラインでは、オフライン時のようなエンゲージメントを求めるべきではない」と考えています。

オフラインよりも、もっとカジュアルで無責任に参加できるのがオンラインのいいところなので、そこにオフラインのようなエンゲージメントを求めると、参加者の心理的ハードルが高くなってしまうと思うのです。

たとえば、この1カ月、お客様とのオンライン会議をたくさん経験しましたが、会議の途中でお子さんが顔を出すこともあり、それを良しとしていました。そうしないと、在宅勤務している方が容易にオンライン会議に参加できません。

また、ホストにはわからないですが、真剣に参加しているフリをして、内職している人もいるでしょう。

そういうことが許される柔軟さがオンラインのいいところなので、オンラインでのあるべきエンゲージメントは、オフラインとはまったく別のものと考えた方がいいと思います。

私も、これからオンラインワークショップの事例をたくさん増やしていきたいと考えていますので、その中で、より良い、オンラインでのエンゲージメントの高め方を模索していきたいと思います。

(文責:株式会社ナレッジサイン 吉岡英幸)

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