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IT部門の組織変革ファシリテーション事例【住友ベークライト株式会社様】 PART1 めざす変革の姿を明確にする

ナレッジサインでは、さまざまな組織に対して組織変革ファシリテーションのお手伝いをしていますが、中でも力を入れているのが、『企業のIT部門の変革』です。
今回は、ナレッジサインがお手伝いした、住友ベークライト株式会社様のIT部門の変革について、情報システム部長の林史郎様のインタビューを交え、詳しくご紹介していきます。

昨今、特にビジネスのデジタル化に伴い、IT部門は、デジタルビジネスの立ち上げなど、より事業価値向上へと役割をシフトすべきであると言われています。
IT部門の役割変革は、ナレッジサインがIT業界でファシリテーションの仕事を始めた2003年ごろから文脈を変えながら、ずっと議論され続けてきたことです。

“待ち”の姿勢でとにかくQCDに優れたITを提供する「守りのIT」から、もっと積極的に提案し、業務プロセス改革や競争優位をもたらすITを提供する「攻めのIT」への転換。日本企業の多くのIT部門は、今なおこのような課題に直面しています。

IT部門が役割を変革し、その期待に応えていくためには、以下のことが必要です。

・どのように変わるのか、変革のめざす姿を具体化する
・めざす姿に向けた実行プランを描く
・強いリーダーシップでプランを実行していく
・環境変化や実行の進捗度合いに応じて迅速に改善アクションをしていく

ナレッジサインでは、IT部門トップや、幹部層を対象にしたファシリテーションを行い、上記に挙げたプランの具体化、実行・モニタリングの支援などをお手伝いしています。

住友ベークライト様のIT組織変革のファシリテーション

住友ベークライト様では、2014年4月からIT部長および若手リーダーからなる6名の変革委員メンバーを対象に、2か月間、計8回のファシリテーションを行い、今後のIT部門の役割変革に向けて10のアクティビティーを挙げ、具体的な施策を決定しました。
そこから、約2年半。変革プランを着実に実行し、成果を出しておられます。
本事例紹介では、変革プランニングから、実際の変革実行のプロセスについて、PART1,PART2,PART3の3部構成で詳しく紹介していきます。
PART1では、IT部門変革の背景と、めざす姿に向けた課題の整理までのステップをご紹介します。

●お客様:住友ベークライト株式会社
●ファシリテーション期間:2014年4月~5月
●ワークショップ回数:8回
●対象:IT部長、課長、若手リーダーの方々 計6名
●目的:今後5年スパンでIT部門の役割をどう変化させるのか、何に取り組んでいくのか。そのために、組織のしくみや人材育成にどのように取り組んでいくのか、具体的な実行策をプランニングする。
●インタビュー対象:住友ベークライト株式会社 情報システム部長 兼住ベ情報システム株式会社 取締役 林 史郎様
●聞き手:株式会社ナレッジサイン 組織変革ファシリテーター 吉岡英幸

若手次世代リーダーを巻き込んだ変革のディスカッション

【インタビュー】― まずは、IT部門の変革プランを策定しようと考えられた背景をお聞かせください。

林様:当社は、IT子会社の住ベ情報システムにIT部員が80名ほどおり、実質的にその80名が、住友ベークライトのIT部門という形です。さらに、国内の主要な工場には、工場担当のIT部員が駐在しており、各工場がIT予算を持ち、工場担当に直接IT化の依頼をするという体制でした。
インフラ、セキュリティや、全社で利用するシステムは、IT部門が業務主管部門と協力して、全社的な標準化を進めていましたが、依然として現場の発言力が大きく、個別最適なシステムが多くを占める状況でした。

2014年から吉岡さんにお手伝いいただいたのですが、ちょうどそのころは、数年をかけてメインフレームからオープンシステムへの切り替えを最優先課題として進めていた時期で、やるべき仕事の見極め、そして移行完了後のIT組織の姿、次世代に向けた役割を具体的に考え始めていた時期でもありました。

― 実は、本格的なファシリテーションに入る前に、そのようなビジョンについて林部長と私でディスカッションをし、めざす姿に向けた課題も、林部長の中でほぼ明確になっていることを確認していました。ですから、後は林部長と私で実務的なプランニングを進める、という方法もあったわけですが、あえて若手リーダーを巻き込んで、じっくりと時間をかけてファシリテーションをしていきました。

林様:変革を実行していくにあたって、次の世代のコミットは必須です。私が一人で引っ張るだけでなく、みんなで一緒に考えることで、変革のアクションに巻き込みたいと思いました。
関わったメンバー6人のうち3人は、比較的若手であり、本人たちも「なぜ自分がこんな重要な役割に選ばれたのか?」という思いがあったと思いますが、その後の成長を見ると、あえて彼らを巻き込んだことは成功だったと確信しています。

実際のファシリテーションは、2~3時間のワークショップを2か月間の間に計8回行いました。全8回のワークショップは、【図1】にあるように、「めざす姿と重点テーマの確認」、「重点テーマをActivity化」、そして「各Activityの行動計画立案」という大きく3つのフェーズに分かれています。

フェーズ1では、IT部門として、どのような姿をめざしたいのか、そのためにはどんな課題が横たわっているのかを、メンバー6名でじっくりと議論しました。

【図1】組織変革ファシリテーションのステップ

自分たちのめざす姿を明確にする

組織変革のファシリテーションにおいて、自分たちのビジョン、ありたい姿を描くことが重要な出発点になり、まずはビジョン、ミッション、バリューとして明文化することからスタートするケースが多くあります。
しかし、今回のファシリテーションでは、あえてビジョン、ミッション、バリューの明文化は、一番最後にしました。

これは、これまでのIT部門の組織変革の経験から来る反省で、ビジョン、ミッション、バリューを最初に創ると、なんとなくキレイな言葉を創ることが目的になり、本当に自分たちがやりたいこと、やりたくないことが反映されていないことが多いからです。

そこで、まず最初に、
・今できていること(自分を褒めてあげたいこと)
・今できていないこと(自分を褒められないこと)

という視点で、できていること、できていないことを挙げていただきました。

こういう風に挙げていくと、できていないことが多くなる傾向があります。ビジョンの実現に関わるようなことだけでなく、普段の仕事上の小さな不満までたくさん出てきます。しかし、ビジョンを明確にするためには、このように、ネガティブな思いをいったん全部吐き出すことが重要になります。

このときに重要なのは、何が問題かを明確にすることです。そこで、問題認識におけるファシリテーションのメソッドの一つである「ないないづくし」という手法で、できていないことについては、語尾に「~ない」をつけて、不足しているものを明確にしていきました。
そうして、いくつかの不足しているもののグループが出来上がりました。
それが【図2】です。

【図2】めざす姿を阻む問題の抽出

そうして、めざす姿と、その実現のための課題をマッピングしました。【図3】のように、さまざまな課題が複合的にどのように影響し合うのかをマッピングして理解することで、変革のための具体的な活動、Activityが明確になっていきます。

【図3】めざす姿に向けた課題のマッピング

※PART2「IT企画から導入後の成果報告までを通してレビューを徹底する」するはこちら
※PART3「決めたことを着実に継続していく中で成長がある」はこちら

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