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IT部門の組織変革ファシリテーション事例【住友ベークライト株式会社様】 PART3 決めたことを着実に継続していく中で成長がある

ナレッジサインでは、IT部門トップや、幹部層を対象にしたファシリテーションを行い、上記に挙げたプランの具体化、実行策の具体化、モニタリングなどをお手伝いしています。

住友ベークライト様では、2014年4月からIT部長および若手リーダーからなる6名の変革委員メンバーを対象に、2か月間、計8回のファシリテーションを行い、今後のIT部門の役割変革に向けて10のアクティビティーを挙げ、具体的な施策を決定しました。
そこから、約2年半。変革プランを着実に実行し、成果を出しておられます。
本事例紹介では、変革プランニングから、実際の変革実行のプロセスについて、PART1,PART2,PART3の3部構成で詳しく紹介していきます。
PART3では、どのようにアクティビティーの実行を継続しているのか、その工夫をお聞きしています。

●お客様:住友ベークライト株式会社
●ファシリテーション期間:2014年4月~5月
●ワークショップ回数:8回
●対象:IT部長、課長、若手リーダーの方々 計6名
●目的:今後5年スパンでIT部門の役割をどう変化させるのか、何に取り組んでいくのか。そのために、組織のしくみや人材育成にどのように取り組んでいくのか、具体的な実行策をプランニングする。
●インタビュー対象:住友ベークライト株式会社 情報システム部長 兼住ベ情報システム株式会社 取締役 林 史郎様
●聞き手:株式会社ナレッジサイン 組織変革ファシリテーター 吉岡英幸

 

情報発信と人材育成

住友ベークライト株式会社様では、めざす姿に変革するために必要な取り組みを、以下のように10のアクティビティーにしました。PART2では、このうち主にA1~A3についてご紹介しました。

A1.IT化案件のレビューのしくみ/レビュー体制づくり
A2.ITの品質基準(レビュー基準)づくり
A3.プロジェクトの成果を褒めるしくみづくり
A4.IT部門からの社内への発信
A5.外部交流の活発化
A6.キャリアプランニングの支援
A7.IT化計画とプロジェクトへの人材アサイン計画
A8.ジョブローテーションの具体策
A9.次世代リーダー育成
A10:時間を作るための業務改革

「A4.IT部門からの社内への発信」では、隔月でIT広報誌を発行し、事業部門に配信しています。これは、常々IT部門からの発信が少ないという指摘を受け、IT部門の存在感を高めることと、事業部門のITに対する関心を高めてもらうことが目的です。
社内の業務システムについての紹介や、最新のITトレンド、ITデバイスの解説など、単なるIT部門の業務紹介に終わらず、ユーザー目線で役立つ情報を提供しようとしています。

この広報誌は電子メディアとして隔月で配信しているのですが、毎号の編集をIT部員にローテーションで担当させ、IT部長と相談してテーマを決定し、内容の編集は担当者にまかせます。広報誌の編集を通じて、事業部門に伝えるということを学ばせようとしているのです。

「A5.外部交流の活発化」も同じく、外部とのネットワークで知見を広めることをねらいとして、積極的に外部の研究会などに参加させ、他社の取り組みを自社に当てはめて考えるように促しています。
このように、変革の具体的な役割を割り振ること自体が若手の育成の手段となっています。

能力開発支援がマネージャーの役割であると再認識させる

IT部門における人材育成は、基本的にプロジェクトの経験がベースになります。
住友ベークライト様では、人材のキャリアを大きく、技術エキスパートと、プロジェクトリーダーの2つの方向に分け、どのようなプロジェクトを通して育成していくのか、プロジェクト経験をベースにした能力開発プランをデザインしようとしています。

図1のマトリスクのように、プロジェクトを、システムの目的の面で「業務プロセス改革・事業価値の向上」、「インフラの整備」に分け、また、プロジェクトの性質を育成の視点で「技術エキスパート育成」、「プロジェクトリーダー育成」という軸で分類し、プロジェクトをマッピングし、その中で計画的なプロジェクトアサインをしようとしています。

【図1】プロジェクトアサインを考えるマトリクス

このような考え方にもとづいて、一人一人の能力開発プランを考えるのがマネージャーの役割です。これは、企業のIT部門全体に言えることですが、若手人材の能力開発にマネージャーがきちんとコミットできているケースは多くありません。

住友ベークライト様でも、定期的に業務目標の面談をしていますが、実施度合には濃淡がありました。そこで、部下の能力開発プランを一緒に考えるという目的を強く意識した部下との面談を義務づけることにしました。

全社的なIT開発の優先順位があるため、実際には、プロジェクトアサイン計画通りに人材をアサインするのは難しいことです。しかし、上司と部下で能力開発計画を共有し、議論するベースができたことで、若手人材にとっては、自分のキャリアと向き合うことができるようになりました。

【インタビュー】― これまでも部下との面談というのはあったのですか。

林様:一部社員に対しては、定期的に業務目標面談を実施していますが、部下のキャリアについてじっくりと対話するということはありませんでした。部下の能力開発プランをしっかりと考えて、対話していくことは初めてと言えます。

― スタートに当たって工夫されたことはありますか。

林様:最初は「何を話したらいいのかわからない」というマネージャーの声が多くありました。ですから、私の方で、面談の目的、聞き出し方のテクニックに至るまで書き込んだ面談ガイドラインのようなものを作り、マネージャーに配布しました。
そして、最初にマネージャー全員で集まり、意識を共有したうえで、ひと通り面談が終わったあとに、結果の共有もしました。

― 面談の実施は徹底しておられるのですね。

林様:みんなまじめなので、そこはきちっとやりますし、面談結果のアンケートも部員に対して実施しています。ただ、そこでは「本音で話せた」という結果が出ても、違う場所で意見を聞いてみると、それまで表に出ていなかった本音が出てくることがあるので、常に気をつけないといけません。

着実にやり続けることの重要性

これら以外にも、制度として資格取得の支援をするなど、成長しようとするベクトルに対しては、さまざまな支援ができる体制が整いつつあります。他のActivityも明確な指針を出し、シンプルなものから着実に実行しています。

【インタビュー】― 私がIT組織改革のファシリテーションのお手伝いをしたのがもう2年前になります。その際に10のActivityを決めて、各Activityのアクションを細かく決めていきました。そのときは正直「これが全部実行できたらベストだけど継続して実行していくことは難しいかも知れないな」と思っていました、しかし、林部長の強いリーダーシップで、2年前に決めたことをほとんど実施し、今でも継続されていることに正直驚いています。

林様:私のリーダーシップだけではなく、それを支援する各拠点グループリーダーのおかげです。また、愚直なことが当社の取り柄なので、決まったことは皆まじめに継続してくれます(笑)。

― 林部長にとって、このような組織改革のファシリテーションの価値とはどのようなものでしょうか。

林様:そうですね。これからのことを考えると、IT組織の改革が必要だと、同じ思いを持つメンバーがいました。ただ、どこから手をつけるべきか、どのように進めていくか、その方法論を整理し切れていなかったので、それを整理できたことと、キーになるメンバーをうまく巻き込んで進めていけたことに関しては、ファシリテーターの力を借りれたことが大きかったですね。

― 林部長、本日はどうもありがとうございました。

※PART1「めざす変革の姿を明確にする」はこちら
※PART2「IT企画から導入後の成果報告までを通してレビューを徹底する」はこちら

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