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会議ファシリテーション研修導入事例【ヤマトロジスティクス株式会社様】

ヤマトロジスティクス株式会社様では、部門を横断した参加者が集まって、現場で起こるさまざまな課題について議論し、問題解決のアイデアを出し合う、P活みがきミーティングというイベントを定期的に開催しています。

このイベントは、年5回程度の頻度で開催され、同社およびグループ会社のさまざまな職種の方が60名ほど集まって、3~4つのグループに分かれ、60分間×2ラウンド、任意のテーマについて議論をします。毎回、いずれかのセクションの方が、同部門で抱える課題などをテーマとして持ちこみ、その課題について、行動レベルに落とし込んだ解決策を各グループで議論して発表し、テーマを持ち込んだオーナーにフィードバックするというものです。

ヤマトロジスティクス様では、全社員が部門を横断して協働する風土を醸成し、議論による問題解決の能力を高めるために、このような場を定期的に設けています。
また、グループで議論する際には、各グループに社内ファシリテーターを立てて、議論を進行していきますので、ファシリテーター役にとっても、議論による問題解決をリードする絶好のトレーニングの場となるのです。

ナレッジサインでは、P活みがきミーティングにおける社内ファシリテーター養成、また、リーダーとしてのファシリテーション能力を養成するために、2016年から、定期的にファシリテーション研修を提供しています。
ここでは、同社でのファシリテーション研修の様子を伝えながら、ナレッジサインのファシリテーション研修の概要をご紹介します。

1.問いかけを中心とした自己紹介

今回のファシリテーション研修の受講者は、全国のさまざまな部署から参加した方々なので、研修で初めて会う方も多くなります。そこで、研修の最初に、トピックを決めて自己紹介をしていただきました。トピックは以下の4つです。

・研修中呼んで欲しい自分のニックネーム
・仕事内容
・なぜファシリテーションを学びたいのか
・自分が経験した生涯最悪の会議

これを紙に書いて自己紹介していただくのですが、基本的に自分で自己紹介スピーチはしません。紙に書いてあるものを見せ合うことで、おおよそのことはわかるので、それを見て、他者が質問を問いかける形式で、互いのことを理解していきます。

そのように、あえて問いかけ式の自己紹介にしたのは、ファシリテーターにとって重要なコミュニケーション・アプローチである ”問いかけ”を中心としたコミュニケーションを、身を持って体感いただくためです。

2.会議デザインシートで会議開催時に必要なことを明確にする

研修の前半では、会議のデザインの仕方を学びます。ここで重要なポイントは、会議の目的とゴールを明確にすることです。
多くのケースで、会議のトピックはあるものの、目的・ゴールが明確ではありません。
目的とは、言い換えると、何のために会議をするのか。ゴールは、会議の目的が達成したことを測る指標です。

たとえば、「人事の新しい評価制度の運用方法を検討する」という目的の会議があったとします。これだけでは、どのような状態になれば、「検討できた」と言えるのが不明確です。
ですから、たとえば以下のようなゴールを明記します。

・運営方法として具体的に導入する施策を決定する
・決定した施策の実施スケジュール、各担当者の役割を決定する

そうすることで、何ができればゴールに到達したかがわかります。

目的やゴールを含めて、会議を開催するうえで事前に明確にしておくべきことを、会議デザインシートにまとめていきます。この会議デザインシートでもう一つ重要な要素は、「参加者の役割」です。会議に参加することが必須な方には、必ず一人ひとり個別の役割があるはずです。会議参加者に対して、個々の役割を明記できないようであれば、本来は、会議に召集する必要がありません。
会議主催者は、会議に召集する一人ひとりに対してこの役割を考えるべきです。

研修では、各受講者に、職場での実際の会議を想定して、この会議デザインシートを記入していただき、各グループで、どこの項目の記入が難しかったかをシェアします。

「ゴールを明確に記述するのが難しい。」
「会議参加者一人一人の役割を設定するのが難しい。そもそも、これまで一人ひとりの役割まで意識していなかった」

というのが、参加者に共通する感想でした。

3. 発散フェーズでは、それぞれの意見の意味合いを確認する

具体的な議論のファシリテーションの演習では、部門間連携の問題を考えるケースをもとに、問題点を考察する発散フェーズと、解決策を絞っていく収束フェーズの議論を、フレームワークを使ってうまく見える化しながら進めていく手法を学びました。

まずは、問題点と考えられるものの意見出しを、ポストイットを使って行うのですが、ここでは、表現を統一してポストイットに書いていただきました。
たとえば、「会議における問題点は何か」という議論で、ポストイットに意見を書いてもらう際に、「会議時間」や「発言数」と書いただけでは、意味が曖昧です。

・予定している時間内に会議が終わらない
・特定の人しか発言しない

という風に、語尾を「~ない」、「~しない」という風に統一して書いていただきました、そうすることで、具体的な問題的が「何が不足しているのか」という視点で、明確になります。

そして、ランダムに書いていただいた意見をグルーピングしていくのですが、その前にまずやるべきことは、書いてあるものの意味について互いに問いかけ合うことです。
たとえば、「部門間でコミュニケーションが取れていない」という意見について、

・コミュニケーションの機会が少ないのか
・コミュニケーションの質が問題なのか
・特定の部門間なのか、すべての部門間なのか

実は曖昧で、同じようなことを書いている人がいたとしても、その人によって意味が違ったりします。
また、「業務が標準化できていない」と言った場合、どのレベルのことを「標準化」と呼んでいるのか、人によって定義もバラバラです。

ですから、それぞれの意見の意味合いについて、全員が同じ認識を持つようにするのです。そして、必要であれば、ポストイットに書いた表現を、より適切な表現に変更します。この時に気をつけないといけないのは、書いた人自身に変更してもらう、あるいは、書いた人の承諾を得て、ファシリテーターや他の方が変更するということです。
そうしないと、書いた人にとっては、自分の書き方が悪かったようで、あまり気持ちのいいものではありません。

問題について意見出しをして、意味合いを確認した後に、ある程度共通性のあるものをグルーピングします。
ほぼ同じ意味のことは、統合し、共通性の高いものは、同じグループでくくる作業です。この時のグルーピングの仕方ですが、さまざまな視点があり得ます。あまり「正しいグルーピング」にこだわらずに、グループ全員が共通認識を持ってその後の議論をしやすいグルーピングができれば良い、といつもサジェスチョンしています。

なぜなら、特に問題解決における会議では、問題考察を論理的に正確にできることよりも、共通認識を持って、解決のアクションに足並みを揃えることの方が重要なので、「正解探し」にエネルギーを費やすのは、疲れてしまうだけだからです。

ファシリテーターは常に「会議でわざわざみんなで取り組む意義は何なのか」を考えながら、プロセスの進行を判断していく必要があります。

4.収束フェーズに便利なマトリクス

ある程度問題点がグルーピングされると、今度は解決先のアイデア出しと絞り込みです。アイデア出しでは、先ほどと同じく、ポストイットに1つずつ解決アクションのアイデアを各自書き出していきます。

今度は、アクションなので「~する」という動詞の表現に統一します。そして、出た意見を下図のようなマトリクスに、書いた人自身が貼りだしていきます。

このマトリクスは、アクションを絞り込むときによく使う汎用的なマトリスクスで、「効果性」と、「実現性」の2軸で構成されます。
まずは、マトリスクに各々の判断で貼りだした後に、先ほどと同じように意味合いと、なぜこのポジションなのか、を互いに確認します。

同じようなアクションを書いている人がいたとしても、4つのゾーンのどこに位置付けるかは、同じというわけではありません。どのゾーンが正しいのかではなく、そのゾーンに位置付けた人は、なぜそう思うのか、を確認するのです。

たとえば、「業務マニュアルを作成する」というアイデアがあったとします。実は、これだけでは主語が誰かが明確ではありません。ですから「主語は誰ですか?」と問いかけることで、よりアクションのイメージがしやすくなりますし、誰が取り組むかによって実現性の判断も異なってきます。

このように、まずは、意味と、位置づけの理由を確認していきます。そして、全員が納得すれば表現の変更や、ポジションの変更をします。

そしていよいよ絞り込みですが、通常は、マトリクスの上の部分、効果性も実現性も高いゾーンにあるアイデアから絞り込むのがセオリーでしょう。

ただ、左上のゾーン(効果性は高いが、実現性は低い)の中に、なんとか実現性を高める工夫ができれば、効果は一番高いアイデアが埋もれているかも知れません。
同様に、右上のゾーン(効果性は低いが、実現性は高い)では、なんとか効果を高める施策が打てればベストソリューションになり得るものがあるかも知れません。

今回の研修では、各グループに、絞り込みを行う対象を、下図のようにAゾーン、Bゾーン、Cゾーンと分けて、

Aゾーン:この中でより具体的な計画がイメージできるもの
Bゾーン:実現性を高める工夫を考えられるもの
Cゾーン:効果性を高める工夫を考えられるもの

という視点で、絞り込みの議論をしていただきました。

研修を通して、受講者からは、以下のような気づきが寄せられました。

「互いに問いかけ合うことで理解が深まる」
「同じような表現の意見であっても、実はそこに込めた意味合いや思いは異なることがわかった」
「対話に時間をかけることで、理解も深まり、収束にも近づくことがわかった」

 

5.問題人物への対処では、「承認」をきちんと表現することが大切

研修の最後では、講師が問題人物を演じるロールプレイングの演習をしました。今回は、各グループがリレー式にローテーションする形で、問題人物との議論に臨みました。

問題人物への対処方法は、こちらのページでも詳しく紹介していますので、詳細は割愛しますが、一番大切なことは、問題人物をきちんと受け入れて、承認を表現することです。問題人物とは、上司やお客様など、その場でもっとも強い立場の方のことが多く、いくら問題行動が多くても、会議室から追い出すことができません。

受け入れるからには、「いかにして生かすか」という発想が重要です。

問題人物にちゃんと伝わるように、承認を表現し、問題人物の発言の中で生かせそうなことは、積極的に生かして、議論を建設的な方向に導いていきます。

各グループがリレー式に問題人物と議論していく中で、最初はなかなか、かみ合わなかったものが、後半のグループになると、徐々に問題人物を受け入れる空気ができてきます。そして、問題人物の発言を、うまくプラスの方向に活用できるようになっていきました。

たとえば、コミュニケーションを解決する方法を議論しているときに、問題人物が短絡的に「やっぱ、飲みにケーションだよね」と言ったときに、「それは違うでしょう」ではなく、「飲みにケーションはおもしろいですね。でも、飲みにケーションの一番いいところってそもそも何でしょうね?」と言った問いかけをすることで、

飲みにケーション⇒本音が出し合える⇒本音を出し合える環境が必要⇒飲みにケーション以外で、もっと有効に本音を出し合える環境があれば、そちらの方がベスト

といった具合に、「飲みにケーション」に端を発して、大切な論点を見出し、より建設的な議論へと発展していきました。

このように、「いかに排除するか」ではなく、「いかに生かすか」という発想で、問題人物も会議を建設的にしてくれる要素へと転換できることがある、ということを学んでいきました。

 

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