コラム

ナレッジサイン代表 吉岡英幸が語るITベンダーへの営業支援とは

「ナレッジサインのやってるITベンダーへの営業支援っておもしろそうなんだけど、今ひとつ何をしてるのかわかりにくいんだよね。」
というお客様の声にお答えして、弊社代表吉岡英幸が直接語る、「ITベンダーへの営業支援とは何か?ワークショップ型セミナーとは何か?」です。
※本コラムは、ナレッジサインのパートナーである株式会社カスタマワイズさんにご協力いただき、同社の専門である事例記事スタイルで、ナレッジサインの事業の成り立ち、そしてワークショップ型セミナーとはどのようなサービスなのかを説明した記事を再編集したものです。(インタビュー カスタマワイズ熊坂仁美さん)

なぜ座談会形式の販促セミナーが受注に結びつくのか

 

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― では、これから吉岡さんにナレッジサインとITベンダーへの営業支援の中身についてお聞きしていきます。どうぞよろしくお願いします。

よろしくお願いします。

― まずはナレッジサインのことから。ナレッジサインは「ITベンダーの営業支援」だけをやっている会社なのですか。

ITベンダーの営業支援が約6割です。残りの4割は組織変革ファシリテーションや企業研修です。

― 会社概要を拝見すると、取引先は大手ITベンダーが多いですね。これまで何社ぐらい取引しているのですか。

取引企業は累計70社余りです。びっくりするほどの数ではありませんが、年間契約をいただくことが多く、これまで私がファシリテーションを努めたナレッジワークショップは500回を超えます。

― 次に、ナレッジサインの最初のサービスであるワークショップ型セミナーについてお聞きします。ワークショップ型セミナーを一言で言ったら「販促セミナー」ということになるのでしょうか。

そうです。でも「セミナー」ではなく「座談会」とか「勉強会」のほうが近いでしょう。

― 講師とかゲストはいるのですか。

講師もゲストもいません。参加者は10人程度で円卓を囲み、製品に関するテーマについてディスカッションを行います。主催者もあくまで参加者の一人で、そこで製品のプレゼンは行ってはいけないことになっています。

― 製品のプレゼンは行わずに参加者がディスカッションするだけで、販促の役割を果たすものなのでしょうか。

果たします。そもそも販促セミナーとは、開催そのものが目的ではなく、「リードを獲得してその後営業がフォローをして受注に結びつける」ことが目的です。

ところが従来型の販促セミナーを開催したベンダーの方がよくおっしゃるのは、苦労して集客してセミナーを開催しても、その後案件になるのはごくごく一部で、せっかく獲得した見込み顧客リストが生かされていないと。

― フォローがしにくいということですか。

そうです。いわゆる「プレゼン形式」だと、主催者の一方的な情報発信になってしまい、参加者が見込み顧客として、営業プロセスのどのレベルにいるのかがわかるすべがない。参加者の考えを聞くチャンスがほとんどないからです。

― たしかに、セミナー後のアンケートも記入しないで帰る方も多いですしね。

それもありますね。一方、座談会形式なら、発言によってその参加者がどんな課題を抱えているか、どのような解決をしたいと思っているのかがわかります。その後のフォローは、その課題をふまえた上での提案から始めることができる。

― つまり、セミナーを営業プロセスの中に組み込むことができるわけですね。

その通りです。
 

IT販促セミナーに年60回参加。そこで出た結論は・・・

 

― ところで、そもそも吉岡さんがワークショップ型セミナーのような座談会形式のセミナーをやろうと思ったきっかけは何ですか。

そもそものきっかけというのは、「従来型」のITベンダーの販促セミナーが面白くないし効果的とも思えなかったので、これを何とかしたいと思ったことです。私はかつて年間60回ほどそういったセミナーに参加していたことがありますので。

― 吉岡さんはIT業界ではなく確かリクルートご出身でしたよね。なぜITベンダーの販促セミナーに年間60回も出たのですか。

リクルート時代、ITソリューションの発注側になったことがありました。そのときにベンダーの言っている言葉がわからなかったのでITのことを勉強しようと思ったからです。

― いわゆるIT用語ですね。

そうです。アルファベット3文字の専門用語や、やたら会話の中にカタカナが多い。。売り手側は普通に話す言葉でも、もっとこっちの目線に合わせてくれなきゃ困るなあと思いつつ、コミュニケーションを取るには自分のほうが歩み寄って勉強しようと、とりあえず、片っ端から参加したわけです。販促セミナーは無料ですし。

参加してみて勉強にはなりましたが、セミナーそのものはちっとも面白くない。

― どのあたりが面白くなかったのですか。

まず、よくあるパターンとして、「情報漏えい」「内部統制」などの話題のテーマに合わせた専門家が講師として最初にお話をして、その後その会社の製品の説明をする、という二部構成になっていることが多い。前半はともかく、後半のプレゼンテーションの部分がだめです。第一部とどう関連するのか。また、プレゼンもこちらが製品に興味がないのにスペックの細かい話をされて、退屈で聞いていられない。

そして、そもそもタイトルと内容すら合っていない場合も多かった。この製品と「内部統制」はまったく関係ないのでは?といった具合に。

― そのようにつまらないと思いながら、よく週1回以上も参加しましたね。

そうなんです。実は、最初は勉強目的だったのですが、そのうち、その「つまらなさ」が逆に面白くなってきました。どうつまらないのか分析してやろうと。どうしたら販促セミナーを面白く効果的にすることができるだろう、という研究に変わっていきました。

 

セミナーの「居眠り率」を計測

 

―  「つまらなさの分析」とは、例えばどんなことですか。

自分なりの指標をつくって参加したセミナーに全部評点をつけていきました。また、あるときは「居眠り率」を算出したことがありました。話があまりにつまらないのでみんな寝ている。じゃあいったい何パーセントが寝ているんだ?と会場を見渡して数えてみました。

―  居眠り率は何パーセントだったのですか。

どの販促セミナーも平均すると約35パーセントが居眠りしているというのが私の結論です(笑)。つまり20人いても、起きている人は13人しかいない。そして「起きている」からといって「聞いている」とは限らない。明らかに場違いでひまつぶし的な感じの人もいました。

ずいぶん無駄なことをしているなあと。もっとうまくやれば効果があるのに、と思っていました。

どうやったら効果的な販促セミナーになるんだろうかと考えていた頃、たまたまですが、ワークショップ型セミナーの原型となった「IT勉強会」をやることになりました。

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ワークショップ型セミナーの原型となった「IT勉強会」

 
― ワークショップ型セミナーの原型となった「IT勉強会」とは?

2001年11月頃から、セミナー参加と平行して、これも勉強のために、たまたま親交のあった大手企業のIT担当者を集めて行っていた勉強会です。それぞれがITの現場でどのようなことに悩んでいるのか、どのように解決しているのか、ユーザー企業が現場で培ったナレッジを共有する純粋な勉強会でした。
ナレッジを流通させる場という意味で、「ナレッジワークショップ」と名づけました。

あるとき、この勉強会のことをあるベンダーの営業マンに言ったら、ぜひ参加させてくれと言ってきました。勉強会だから、製品の宣伝はしないでね」という条件をつけて参加してもらいました。すると、それが思いのほか盛り上がって。

― どう盛り上がったのですか。

その営業マンが売り手、勉強会のメンバーが買い手という立場で、ヘタをすると営業の色気が出たギラギラした議論になったり、お互いに牽制し合う様子見的な議論になったりするところが、お互いに立場を超えて本音をぶつけ合い、有意義な議論になりましたた。
その営業マンには「営業にはつながらないけど、大変勉強になりました」と感謝されました。

そして、しばらくして彼から、その勉強会の参加者の中から受注に結びついたという報告を受けました。「その時に営業はしなかったけど、知り合いになったのでアポを取って会いに行った。課題を把握していた上でお話をしたので、結果的に商談になり、話がスムーズに進んだ」と。

そこで気づいたのは、従来型のセミナーでの一方的な製品のプレゼンよりも、製品導入の背景になる経営課題や業務上の課題について腹を割って話をしたほうが、遠回りのように見えて実は早いのだということです。
勉強会の形を取って真剣にコミュニケーションを行えば、売り手側の思惑と買い手側の要望のギャップを埋めることができるのではないかと思いました。

― それで起業しようと思ったのですか。

そうです。よし、これだ。これから私はIT業界の売り手と買い手のギャップを埋めて、橋渡しをするビジネスをするんだと意気込みました。それからほどなくして、2003年4月、ナレッジサインを設立しました。
 

初受注は「期末」のその日だった

 
― 起業後はすぐに軌道に乗りましたか。

いいえ、全くだめでした(笑)。
会社を作りましたと知り合いの会社に挨拶にいくと、起業前は好意的で「それは絶対にいい。成功すると思う」などと言っていたベンダーの担当者も、「本当にそれで独立したんですか。まあがんばってください」というような冷たい態度でしたね。

― めげませんでしたか。

そんなものだろうとある程度予測はしていましたから、めげはしませんでした。何しろ、今まで誰もやったことのない、新しい形式の販促セミナーです。
このスタイルが認知されるまでには時間がかかる。でもこのやり方は絶対に間違っていないし、買い手側にも売り手側にも有効な手法である、という信念のもと、スポンサーのつかないワークショップを毎月持ち出しで開催していました。

― 最初の受注があったのはいつでしたか。

期末の最終日に1社から年間契約の発注書をいただきました。それが初受注です。

― 期末の最終日というと、1年間受注がなかったわけですか。

そうです。1年目は大赤字で蓄えを食いつぶしていましたね。しかし、その1社目で実績ができ、これまでの仮説を全部検証し、どのようにすれば実際にうまくいくのかが全部わかりました。
それから1つ1つ実績を重ねてきて、おかげさまで今では、多くの大手ベンダー様と取引させていただいております。
今でも、起業当初の、IT業界の売り手と買い手のギャップを埋めて、橋渡しをするという目標は全く変わっていません。
 

ワークショップの事前コンサルティングとは何を行うのか

 
― ではここからは、ワークショップ型セミナーが実際どのように行われるかについてお聞きしたいと思います。
ひとつのワークショップ型セミナーを開催するのにどれぐらい時間をかけるのですか。

平均2ヶ月です。そのうち半分の1ヶ月間は、「コンサルティングフェーズ」と呼んでいる準備期間です。

― コンサルティングに1ヶ月。何をやるのですか。

「戦略ファシリテーション」と呼ばれる約2時間の社内ワークショップを2~3回ほど行います。なぜここに時間をかけるのかというと、たいていのお客様は「売る製品」は決まっているけれどそれ以外は何も決まっていない、ターゲットもぼんやりしているという場合が多いからです。

― 「ターゲットがぼんやり」とは。

「ターゲットは誰ですか」という質問をすると、たいてい「情報システム部門の部長です」という答えが返ってきます。
しかしこれはターゲットとは言いません。「どれぐらいの規模の会社で、こういう課題を抱えていて、それをどうしたいと思っている人か」というところまでフォーカスして、はじめてターゲットと言えます。
つまり、「買う可能性のあるお客様」ではなく、「一番買ってくれやすいお客様は誰か」ということを明確にしていくのです。

これが明文化されていなかったり、営業とマーケティングの間で大きなギャップがあったりします。我々がお客様であるベンダーの営業やマーケティングの方々とのミーティングをファシリテーションしながら明確にしていくのです。

― セミナーの準備というより本格的なコンサルティングなのですね。ほかに何を決めるのですか。

ターゲットの次に重要なのがゴール、つまりワークショップ型セミナーを行う目的を決めます。ワークショップが終わった時点でどんな状態にしたいのか。営業プロセスを山登りにたとえると、何合目までたどり着いていればよいのか。どんなことをクリアにしていたいか。それらをこの戦略ファシリテーションの中で明らかにしていきます。

― テーマやタイトルはいつ決めるのですか。

ターゲットとゴールを明確にした後です。ナレッジサインから「こういうテーマにしましょう」という提案を行い、議論の内容およびタイトルを決めます。告知をして参加者を集めた後、参加者に事前アンケートを行い、だいたいの課題感をつかんでおきます。こうして当日の議論が効果的に進むように戦略を練ります。

― 事前アンケートまで行うのですね。

ぶっつけ本番でワークショップをやってもうまくいきません。参加されるお客様がどのような課題を持っているのかを事前に把握しておくことが重要です。
実はこれは、本気でない参加者のふるい落としの役割もあります。質問の内容で、なんとなく敷居が高そうだなと思わせれば冷やかしの人は自然脱落していく。逆に言えばそれを乗り越えて集まる参加者は皆本気なわけです。

ここまでをコンサルティングフェーズと呼んでいます。この部分が全プロジェクトの中で最も重要です。我々のファシリテーション・ノウハウはワークショップ本番よりも、ここでもっとも発揮されると言えます。
 

マーケティングより営業担当者に喜ばれるわけ

 
― それが終わって実際のワークショップ型セミナーの実施になるわけですね。

はい。でもいきなり本番ではありません。予行演習を行います。主催者側として参加するベンダーの担当者を交えて、事前アンケートをもとに「この参加者はこういう課題をお持ちです。これについて御社が提供できるナレッジはありますか」というようなシミュレーションを行います。
その後本番に移ります。本番はすべてナレッジサインが仕切ります。

― これまでの段取りを聞いていると、正直言って結構大変そうです。担当であるマーケティングの方はともかく、営業の方は嫌がったりしませんか。

おっしゃる通りです。営業の方は始める前は面倒くさそうにしています。でも終了後にがらっと態度が変わるのも営業の方です。またやってくれと。
普段の営業現場では聞くことのできない、あるいはそれを聞き出すためにはものすごく時間がかかるようなお客様の本音のお話しを簡単にワークショップ型セミナーの場で聞くことができる。
そこまでたどりつく営業の苦労を考えると、とても有効な場だということが、ワークショップ型セミナーに出てみて初めて、おわかりいただけるようです。
 

ワークショップ型セミナー後のレポートの意外な効果とは

 
― ワークショップ型セミナー終了後に何かすることはありますか。

お客様のほうは何もすることはありません。早速次の営業プロセスに移っていただきます。ナレッジサインでは、当日の議論の内容を公開できる形の「サマリーレポート」として作成し、ナレッジサインのWebサイトにもアップさせていただきます。
これによって意外な効果を生むこともあります。
※過去のワークショップ型セミナーのレポートについてはこちら

― 意外な効果とは?

サイトにアップしたレポートがSEO対策になることがあるのです。最近でも、あるテーマでワークショップを複数回実施し、そのたびにサマリーレポートをナレッジサインのWebサイトにアップしていたところ、なんとそのテーマのキーワードで検索すると、主催者企業が検索エンジンのトップに表示されてるといったことがありました。ただアップするだけではなく、コツはあるのですが。
 

セミナー集客のコツ

 
― ところで、ワークショップ型セミナーの集客もナレッジサインが行うのですか。

いいえ、ナレッジサインは集客は行いません。お客様に行っていただきます。ただ、集客のための戦略は一緒に考えます。

ワークショップだけでなく、すべてのセミナーに言えることですが、重要なのは、細かい戦術ではなく、ターゲットの絞込みと、ターゲットの課題に合うコンテンツを用意することです。
従って、当社のコンサルティングフェーズを経て明確な仮説のもとワークショップを設計した時点で、集客戦略の大半は終わっているのです。実際に、お客様からよく聞くのは、同じハウスリストに案内しているにもかかわらず、考え抜かれたワークショップの案内をすると、集まる人数が全然違うそうです。

そうは言っても、我々もセミナーのプロですから、経験上細かい戦術には長けています。そこはしっかりアドバイスさせていただきます。

― ナレッジサインはセミナー事務局もやってくれるのですか。

オプションになりますが事務局代行もやります。告知ページ制作や申し込みフォーム、Webアンケートのフォーム作成、また、参加者へのリマインドや細かいフォローも行います。けっこう軽視されがちなのですが、事務局の手厚いフォローで、セミナーの参加歩留まり率は全然違うものなのです。
 

現在はソリューション営業体制を作ることに軸足を置いている

 
― ITベンダーへの営業支援は今後どのように進化していきますか。

現在注力しているのは、ソリューション営業体制づくりです。ワークショップ型セミナーで呼び込んだお客様にいかに営業を進めていくか。これまでは、ワークショップ型セミナーを開催した後は、ITベンダーの営業にバトンタッチして「あとはよろしくお願いします・だったのですが、その先も関わっていこうとしています。

― 具体的にはどのようなことをするのですか。

たとえば、ITベンダーの営業と同行して、一緒に営業しちゃうに近いところまでやります。実際には、ITベンダーのお客様をナレッジサインがコンサルティングする形です。IT導入以前の経営課題解決に対してナレッジサインが入り込み、ITソリューション導入の道筋をつける。
また、ITベンダーの営業の教育もします。

― 営業スキルの研修ですか。

営業スキルの研修ももちろんやりますが、顧客事例ワークショップというものをけっこうやっています。これは、ITベンダーの取引先どこか1社の事例を営業全員で徹底して振り返り、顧客目線で考える力を養う目的のものです。
ITソリューション導入の背景に何があったのか?そもそもITソリューションを使わない解決はあり得るのか?そんなことを顧客目線で徹底して議論します。
これを繰り返していくと、ソリューション営業魂みたいなものが刷り込まれていきます。
それで、このワークショップを「ソリューション営業魂刷り込みワークショップ」と呼んでいます。

― 今後がますます楽しそうですね。今日は、どうもありがとうございました。

(インタビュー カスタマワイズ熊坂仁美さん)

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