コラム

コミュニケーションの取り方で仕事力を見せつけよ ”グローバル人材育成なら英語でファシリテーションでしょ?” コラムVol.9

このコラムでは、プロのファシリテーターである私自身が、2013年から世界を舞台にグローバルファシリテーションに挑戦し、いろいろと試行錯誤しながら学んだことを、等身大で語っていきたいと思います。

グローバルに活躍するためには、英語よりもまずは専門能力でしょ

 
2016年から、「英語で学ぶグローバルファシリテーション・ワークショップ」”SPOT on Facilitation” というワークショップを日本でやっています。3日間みっちりと、文字通り英語でファシリテーションを学ぶというものです。
講師もネイティブ外国人で、もちろん講義はすべて英語。海外などグローバルなシーンでリーダーシップを発揮すべきグローバルリーダーが、ファシリテーションを通じて、グローバルな舞台でリーダーシップを発揮できる力をつけようとするものです。

そんなワークショップをやっていながら言うのも何ですが、日本人が(仕事で)グローバルな舞台で活躍できるには、何が必要でしょうか?と問われときに私は迷わず、

「仕事の専門能力でしょう」と答えます。

一般に“グローバルで活躍するために”、”世界で通用するために”と言った表現がよく聞かれますが、目的や領域は曖昧になっています。
たとえば、海外で友人をたくさんつくることが目的であれば、やはり英語力は重要でしょう。また、どこの国に行っても幸せに暮らせるようになることが目的であれば。どんな食べ物でもおいしく食べられることが、必要な能力の最上位に来るかも知れません。

それが、何らかの仕事で、海外に舞台を移しても活躍できることが目的であれば、その仕事の専門能力がもっとも大事なことは言うまでもありません。

活躍の場を世界に広げるということは、

・競合が多くなる
・多様な価値基準で評価される

という風に市場環境が変わることですから、競合が多くなっても勝てるパフォーマンスの高さと、多様な価値基準に対応する柔軟性が必要になります。それらを包含できる専門性を向上することが求められるでしょう。
個々の職務でその専門性というものは異なってきますが、より一般化して考えると、「仕事力」ということになると思います。

仕事力の中に、コミュニケーション能力も含まれますから、当然、英語力も必要です。ただ、高度な翻訳ができる、英語の言語学としての深い知識がある、となるとそれ自体専門能力と言えますが、ここで言っている英語力というのは、日本語のように流暢に話す能力ということでしょうから、それ自体が専門能力にはなりません。

いくら英語が流暢に話せても、仕事の専門能力が高くなければ、結局は仕事で活躍することはできません。それは、日本語ができるだけで、日本で活躍できるわけでないのと同じです。

逆に仕事の専門能力が高ければ、通訳を介して仕事をしてもそれほど大きな支障はありません。日本でも日本語をほとんどしゃべらずに高いパフォーマンスを発揮する外国人はたくさんいます。
中国などで製造業の指導をする日本人のコンサルタントの方には、中国語も英語も十分できずに、常に通訳を帯同している人がけっこういますが、やはり優秀なコンサルタントの方は、それでも高いパフォーマンスを発揮しています。

また、仕事力が英語でのコミュニケーション能力の不足を十分カバーしてくれることもあります。

 

仕事力の信頼があれば、言葉は少なくて済む

 

私自身は、海外留学、海外勤務経験もなく、2013年から、本格的に英語でファシリテーションできるようになりたいと考え、いろんなトレーニングや経験を積んできました。

この4年間あまりで、さまざまな海外のパートナーと一緒にビジネスをするようになり、「海外でファシリテーションできるようになりたい」という特化した目標から、純粋に世界とビジネスをするという、より広い活動に広がってきました。むしろ、ファシリテーションの力を借りることで、世界とさまざまなビジネスの可能性が広がっている感じです。

シンガポールとのパートナーとも4年の付き合い。最初はファシリテーター同士としての友人関係から、次第におカネの発生するビジネスパートナーシップになり、シビアな交渉も日常茶飯事です。

そのような中で気づいたことですが、仕事上の付き合いが長くなればなるほど、言葉で説得することが少なくなってきたことです。おカネのからむビジネスの話ですから、間違いのないようにいつも慎重かつ正確に議論をしなければなりません。
最初は英語力ももどかしく、議論を進めるのにも苦労していましたが、次第にガチで議論できるようになり(おカネがからむと人間は強くなる)、難しい交渉事も互いに腹落ちできる議論をできるようになってきました。

一方で、一緒に仕事している期間も長くなると、互いの仕事ぶりもわかってきますので、最近は、難しい交渉事でも、

You know me well, see what happens.
「俺が、やるって言ったら必ずやり遂げるヤツだって知ってるだろ。まあ、見てなって」

という感じの短い言葉だけで済むことが多くなってきたのです。

英語力は向上しているわけですから、論を尽くして相手を説得することも可能なのですが、互いの仕事ぶりを評価し合う関係の中で、以前ほどケンケンガクガクの議論をする必要はなくなってきたのです。
互いの仕事ぶりで信頼関係を築き、「後は顔を見ればわかる」でコミュニケーションする、というのは世界どこに行っても同じです。

私が今世界と仕事ができているのは、プロのファシリテーターとしての専門能力と、ビジネスパーソンとしての仕事力、強くコミットメントする力のおかげなのです。

前者は、15年間ファシリテーションに関わって培ってきたものですし、後者は、前職のR時代に鍛えられたことも含めて、経営者としていろんなことにコミットメントしてきたものがベースになっていると思います。
グローバルにシフトするために、4年前から本格的に鍛えてきた英語力やグローバルな視点よりも、むしろ、それまでのビジネス経験で培ってきたものが、今世界と仕事をするうえでモノを言っている気がして、おもしろいものです。

 

仕事力を見せつけるコミュニケーションの取り方

 

仕事力というのは、一緒に仕事をしていくうえで認め合うものですが、同時に普段のコミュニケーションにも表れます。
言い換えると、その人のコミュニケーションの取り方を見ていると、仕事力も垣間見えてくるわけです。ですから、私は、自分の仕事力を見せるためのコミュニケーションをいつも意識しています。

私が海外と仕事をするときに心がけていることは。大きく以下の3つです。

・自分の行動の基準、ビジョンを明確に示す
・意思決定をダラダラと引き延ばさず即断する
・できると思ったことは自信を持って言い切り、必ず達成する

外国人と一緒に仕事をするときに、いろいろと文化的な背景の違いから、やり方の違いが必ず出てきます。どちらがいいかの判断はその時々で違ってきますが、コミュニケーションの際に重要なのは、「なぜそうしたいのか」、その根拠を明確に示すことです。
私が自分の行動の根拠を説明するときに意識しているのは、自分のビジョンを説明することです。私にとって、すべての行動は、自分のビジョンにもとづいており、一貫性があります。
でも、私のビジョンを理解していない他者にとっては、その一つ一つの行動に共通性があるのかどうか、容易にはわからないかも知れません。

ですから、私は、自分のビジョンとはこのようなもので、それにもとづいて行動しようと思うからこうなるのだという説明を大切にしています。
そうすることで、私の中での「ブレない部分」が見えてくるわけです。海外と仕事をしていくえで、この「ブレなさ」を見せるって、けっこうインパクトが大きいなと日々痛感します。

また、私は経営者でもあるので、たいていのことは即断します。そのクセがついているので、日頃から「ちょっと考えさせてくれ」ということがあまりありません。
この「ちょっと考えさせてくれ」、「この件は持ち帰って」というのが、外国人がもっとも嫌うものです。

日本本社からやってきたスタッフに対して海外現地法人のスタッフが何かリクエストをすると、いちいち「この件は本社に持ち帰って」となると、現地法人スタッフも「Representativeなんて言葉使うなよ」と言いたくなります。
私は難しい交渉事でもたいていその場で即断しますし、相手にもそれを要求します。

会社員として働く日本人の場合、なかなか職務権限上難しいところはあるかも知れませんが、自分で責任を持って決裁できる範囲、腹をくくってなんとかすると約束できる範囲、これらを自分の中で明確にしておき、少なくとも自分自身が躊躇して決断できない、という姿勢は見せないようにすることが大切でしょう。

そして、ひとたび腹をくくったら、自信を持って”Trust me”と言い切り、必ず実行する。
逆にできない約束は死んでもしないし、できないと思ったら期待を持たせるようなこともしない。自信を持って約束して破るのは最悪ですが、どっちつかずも、信頼を失うもとです。

私はよく外国人から「よくそんなに自信を持って言い切れるな」と感心されますが、そういう約束をした時は必ず実行していますので、次からは、私が、自信がある素振りを見せるだけで相手は安心して、私の言うことを信用してくれます。

このように、コミュニケーションの取り方×実際の仕事ぶりが、文字通り言行一致していくことで、あなたのグローバルな舞台での価値はいっそう高まるに違いありません。
 

※関連イベント:11月9~11日に「英語で学ぶグローバルファシリテーション・ワークショップ」”SPOT on Facilitation in Japan Vol.4″を開催します。詳細はこちら

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