コラム

脳神経科学の観点で考える「自信を持って話せば英語は通じる」は本当か? ”グローバル人材育成なら英語でファシリテーションでしょ?”コラムVol.4

このコラムでは、プロのファシリテーターである私自身が、2年前から世界を舞台にグローバルファシリテーションに挑戦し、いろいろと試行錯誤ながら学んだことを、等身大で語っていきたいと思います。
 


 

「自信を持って話せば英語は通じる」は本当か?

 

今回、シンガポールのパートナーを招聘して、日本で「英語で学ぶグローバルファシリテーション・ワークショップ」を開催することになりました。文字通り全編英語で実施します。3日間英語漬けです。⇒(6月23~25日 グローバルファシリテーション・ワークショップ)

シンガポールまで足を運んで、実際に生のダイバーシティを体験いただくのが一番いいのですが、そうは言っても交通費もかかるし、前後で1週間近く出張して日本を空けるわけにもいかない、という人が多いでしょう。
なので、シンガポールから講師を招いて、シンガポールでやっているものと同じワークショップを日本でやることにしました。
日本人が受講者の中心になるとは言え、講師のお二人はシンガポール人で、全部英語でやります。若干の外国人も参加する予定ですので、かなり非日本的、非日常的な3日間になるでしょう。

 
このワークショップに関して、もっとも多い質問が、
「全部英語でやるっていう話ですが、参加するにはTOEICで何点ぐらいが目安でしょうか?」というもの。
気持ちはわかります。なにしろ講師は日本語を話さない。全部英語で3日間研修を受けるのは、荷が重いでしょう。
しかし、TOEIC900点以上でも、英語での議論となると今一つの人がいますし、TOEIC600点でも、堂々と英語で議論できる人がいます。
一概にTOEICの点数で判断することはできません。

そもそも英語でちゃんとコミュニケーションを成立させるためには、何が必要でしょうか。単語力、文法力にもとづくリスニング能力、スピーキングのトレーニングはもちろん重要ですが、ときどき「英語なんて自信を持って話せば通じるのさ」と言う人がいます。

この、「自信を持って話せば、英語は通じる」は本当でしょうか。細かいことは気にしないで、通じていると思って図太くコミュニケーションを取ることが英会話上達の一歩という意味ではわかります。
また、私自身の経験からも、気後れしてモゴモゴ話すのに比べれば、はっきりとしゃべる方が、相手は聞き取りやすいようだというのは実感します。しかし、それ以外に「自信を持って話せば通じる」と言える科学的根拠はあるのでしょうか。

人間の脳は推定によって理解している

 

ちょっと脳の働き方をもとに考えてみましょう。
最近、私は人工知能について勉強をしており、その過程で、人間の脳の働きについても勉強するのですが、いろいろと新しい発見があります。
有力な説として、人間の脳は常に一瞬先を推定しながらあらゆるものを認知している、ということ。
実は、我々は、言語コミュニケーションにおいて、すべての言葉を正確に聞き取って理解しているわけではないのです。

たとえば、
「昨日彼と一緒にご飯を食べた」という会話があったとします。
これは、もしかしたら私たちには、実際の音としては、
「キノー、カレトーッショニ、ゴヘンウータベアン」
という感じに聞こえているかも知れません。

でも、我々の脳は、これは「昨日彼と一緒にご飯を食べた」と言ったに違いないと推定して、「昨日彼と一緒にご飯を食べた」と聴こえたと、脳に言い聞かせているのです。
それができるためには、「昨日彼と一緒にご飯を食べた」と同じような表現をたくさん聞いて学習することが必要です。

SIRIなどの音声認識ソフトが、上手に音声認識してくれる原理と同じですね。その学習に必要なデータを訓練データと言いますが、英語のネイティブスピーカーにとっては、日本人のカタカナ英語の訓練データが少ないので、日本人の英語はなかなか聞き取りにくい、となるわけです。
世界のあらゆるところでカタカナ英語を自信満々に使う図太い性格の日本人が、もし世界にあふれていたなら、我々のカタカナ英語は、世界でもっと市民権を得ていたことでしょう。

話し手の自信が聴き手の脳の推定機能を強化する

 

ここからは私の仮説ですが、脳が推定に頼って言語を理解していると考えると、脳が推定しやすい状況を作ってあげることで、言語の聞き取りをしやすくすることが可能ではないかと思うのです。

自信を持って話そうとする人と、そうでない人の場合、聴き手は、当然前者の方に集中します。そして、「この人はちゃんとしたことを話すはずだ」と脳にあらかじめインプットすることで、推定機能をめいっぱい働かせようとして、聞き取る力を研ぎ澄ますのではないかと私は考えます。
実際に、我々も相手に集中しているかどうかで、相手の話の内容がどれだけ頭に入ってくるかが異なります。

そう言った、脳の一瞬の働きによる無意識的な推定と、「これってこういう意味かな?」という意識的な推定とが合わさり、相手の話す言語の理解度を深めると考えられます。
ファシリテーション的には、場の空気をつかむことで、聞く耳を持ってもらうのと似ています。
ですから、「自信を持って話せば英語は通じる」は、十分科学的根拠があると思うのです。もっと自信を持って、思い切って、相手の脳に語りかけるつもりで英語を話してみてはいかがでしょうか。

※関連イベント:11月9~11日に「英語で学ぶグローバルファシリテーション・ワークショップ」を開催します。詳細はこちら

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