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純ジャパ・グローバルファシリテーターの英語でファシリテーション初体験記 Vol.1「場違いにもほどがある?」

今では、英語でのファシリテーションを学ぶワークショップ、SPOTlight on Facilitationのオーガナイザー、ファシリテーターとして、いろんな方に英語でのファシリテーションのノウハウをお教えしている私ですが、私自身は純ジャパで、2013年まで英語での仕事にまったく縁がなかったのです。それが、2013年に思い立って、英語でのファシリテーションの世界に足を踏み入れ、今に至るのですが、今のパートナーのFNS(Facilitators Network Singapore)に出会い、SPOTlight on FAcilitationを日本で展開することになった原体験を、恥ずかしながら公開します。

帰国子女や、バリバリに英語で仕事をしてきた人でなくても、ファシリテーションの力を借りることによって、英語でのファシリテーション、ダイバーシティな中でリーダーシップを取れるんだという、勇気を持ってもらうために意外な?私の英語でのファシリテーションの入り口を紹介します。

意気揚々と出かけていったのだが・・・

2013年8月21日。これから3日間にわたるファシリテーション・ワークショップが始まる。場所はシンガポールFort Canning。都会のど真ん中に小高い丘の公園があり、シンガポールがまだトマセックと呼ばれていた14世紀の王朝時代の遺跡など、さまざまなシンガポールの歴史遺産が見られる公園。都会のオアシスといった感じだ。この公園の入口に研修会場となるホテルがある。

ワークショップを主催するのは、シンガポールでプロのファシリテーターを4,000名以上ネットワークしているシンガポールファシリテーション協会(Facilitators Network Singapore 以下FNS)。講師であり共同設立者でもあるPrabu Naidu氏とJanice Lua女史はIAF(International Association of Facilitators)の認定プロフェッショナル・ファシリテーターであり、アジアで数人というIAF認定マスター・ファシリテーターの資格を持つ。

私が今回このワークショップに参加した目的は2つ。グローバルファシリテーターとして、私自身が英語でファシリテーションする力を身につけるためには、英語のネイティブスピーカーが集まる海外のファシリテーション研修に受講者として参加することが、もっとも効果的であると思ったこと。
そしてもう1つは、当社のグローバルビジネス展開のパートナーを見つけること。本ワークショップの主催者であるFNSはその候補の1つでもある。

研修会場に入ると、受講者は私も含めて全部で17名。日本人が一人だけで少し緊張気味の私を気遣うかのように講師も受講者もとてもフレンドリーに接してくれる。
研修が始まってすぐの自己紹介では、自分が日本ではプロフェッショナルであること、英語は完璧ではないが、自分の経験やナレッジをこのワークショップに注入してみんなをインスパイアしたいという趣旨のことを伝える。
みんな日本からやってきた異色の参加者に興味と期待を持ったようであたたかく迎え入れてくれた。

「やっぱり来るんじゃなかった・・」場違いにもほどがある?

研修が始まった当初こそ、受講者の中に日本人が一人いることに配慮したのか、講師の口調もゆっくりに感じられたが、それも束の間、いつの間にかマシンガントークに切り替わる。
この辺は日本とちょっと違うところだ。日本では、研修の講師は通常ゆっくりと間をおいてしゃべるように心掛ける。日本人相手であっても、誰にでもわかる言葉で語りかけるのが鉄則だ。しかし、外国人の講師はそんなセオリーは持っていないようだ。TEDのスピーチのようにはっきりと明瞭な声でのプレゼンテーションなど望むべくもない。

それでも、ファシリテーションの論理は万国共通だ。テキストもあるし、講師が何を言っているのかはわかる。ただ、困るのは、研修の進め方がよく理解できないことだ。私のヒアリング力では、次にどんな作業をすべきなのかが完全には理解できないときがある。
戸惑いながらワークを進めようとする私に同じグループメンバーが親切に手順を解説してくれる。グループメンバーの助けを借りながらなんとか手順をこなす。
1日目の後半は、グループワークが中心になる。17人を5つのグループに分け、2日目には、グループごとにファシリテーションの実演をやる。そこで取り扱うケースの基本的な理解が1日目後半の主な課題だ。
ケースの内容をグループでシェアし、ファシリテーションに際してどのようなツールを用いるべきか基本的な計画を立てる。
研修の進め方は私が実際に日本でやっているものとよく似ている。しかし、このグループ内のディスカッションが大変だ。日本のように「じゃあ、このような形で行きましょうか。」「そうですね。それでいいと思います。」と、予定調和で合意などしない。
みんな「ああしたい。」「いや、こっちの方がいいよ。」という議論をとことんまで続ける。私は、まずグループメンバーが何を言っているのかを理解するのに必死だ。とてもじゃないが、プロとしてのインスパイアなどできたものではない。

英語力という観点でいくと、ファシリテーションのような研修の受講者になる場合、通常のビジネス英語の2段階上ぐらいの英語力が必要だ。むしろ研修講師の方が英語力の点ではずっとラクだ。講師のしゃべることは80%がシナリオ通りだ。質疑応答にしても、出てくる質問のパターンはある程度予測できる。受講者が何を聞いているのかを理解できれば答えるのは簡単だ。
しかし、受講者としてグループ内ディスカッションに臨む場合、どんな話が出てくるかわからない。相手の言っていることを瞬時に判断して、早いスピードで自分の意見を出さないと、主張するタイミングを完全に逸してしまう。とてもタフなシチュエーションだ。
1日目が終わる頃には、プロフェッショナルである私が、憔悴しきっていた。1日目の終わりに感じた正直な思いを告白すると、以下のようになる。

Oh, it was wrong decision! I shouldn’t have come here.

疲れきってホテルに帰った私は、食欲もなく、部屋の異常に効きすぎる冷房をつけたり消したりしながら(ちなみにシンガポールにクールビズという概念はありません。外は熱帯。室内は寒冷地です。ご旅行の際はお気をつけて。)、眠い目をこすって翌日に向けての宿題をこなすのであった。

2013年9月
株式会社ナレッジサイン グローバルファシリテーター 吉岡英幸

⇒【英語でファシリテーション初体験記 Vol.2「やっぱり開き直りが一番の自信になる」 はコチラ

⇒【英語でファシリテーション初体験記 Vol.3「エンゲージメントの力を体で学ぶ」 はコチラ

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