NEWS/CASE STUDIES/INSIGHT

「グローバル統括担当ですか?それじゃ、英語でファシリテーションぐらいお出来になるんでしょうねえ?」 ”グローバル人材育成なら英語でファシリテーションでしょ?” Vol.8

普段英語でビジネスできていても、英語の議論では萎縮してしまう日本人

2016年から、「英語で学ぶグローバルファシリテーション・ワークショップ」というワークショップを日本でやっていますが、ここに参加する日本人受講者は、いずれも普段英語を使って仕事をしている方々ばかりなのですが、外国人が混ざったグループワークになると、日本人受講者は途端に元気がなくなってしまうのです。

このワークショップの参加する日本人受講者は、主に以下のような方々です。
・企業の人事部、本社部門のグローバル統括担当
・企業のIT部門のグローバル統括担当
・企業の海外営業担当
・海外に赴任予定の方
・R&Dやプロジェクトで海外の人材と協働する必要のある方
・ファシリテーター、コーチ、トレーナーとして海外でも活躍しようとする方

普段は、普通に英語を使って仕事をしている方々ばかりです。
もちろん、本ワークショップでは、受講者も日本人だけでなく、3分の1近くは外国人、ネイティブイングリッシュスピーカーですので、海外でのグローバルな環境とほぼ同じような場面が再現されます。

 

本ワークショップでは、4~6名ほどのグループを即席で作って、いろんなメンバーでディスカッションするのですが、最初の1日目などは、グループメンバーの3分の1が、ネイティブイングリッシュスピーカーになると、みんなでワイガヤでグループディスカッションしている中で、日本人受講者だけが、借りてきた猫のように大人しくなってしまいます。

たしかに、ネイティブイングリッシュスピーカーの話すスピードは速いし、ビジネスの現場ではあまり聞くことのない表現もバンバン出てきます。でも、別に英語がわからなくて黙ってしまうのではありません。単純に、圧倒されてしまうのです。

このワークショップに参加する外国人は、日本で仕事をしている方々ですから、多少日本語もできるし、日本人のメンタリティを知っていて、日本人受講者を少しでもリラックスさせるようにいろいろと気配りしてくれるような方々ばかりです。それでも、最初のうちは、日本人受講者は、グループワークにポジティブに参加できないのです。

それが、2日目となるにつれて徐々にポジティブになり、議論をリードできるようになっていくのが、このワークショップのおもしろいところなのですが、

日本人受講者のマインドの中には、

・何を発言しようか考えているうちに議論がどんどん前に進んでしまう
・気の利いたことを短時間で英語で作文して話す会話力に自信がない
・自分の発言で、いろいろと質問されて難しい英会話になったらどうしよう

という不安があるようです。

重ねて言いますが、英会話合宿に来ているような方々ではなく、普段英語でビジネスをしている方々ばかりなのです。それでも、慣れない、外国人とのポジティブなディスカッションの場に入ると萎縮してしまうのです。

実は、これと同じことがビジネスの現場でも起きています。
グローバル人事、グローバルIT統括などの担当者が、海外の子会社に行って、日本本社の方針を伝える、あるいはグローバルポリシーに従うように説得する、そのようなシチュエーションでグローバルミーティングを開催する機会がよくありますが、こちらの話を英語で正確に伝えることや、外国人の質問に英語で答えることはできても、議論をリードすること、あるいはかみ合った議論そのものができないことが多いのです。

グローバルリーダー育成を通して、そもそもグローバル関連の職務に就くべき人材のコンピテンシーとは何か、ということを考えされられます。

グローバル統括担当なら、当然英語でファシリテーションぐらいできるんだよね?

日本の本社から、IT部門や人事部門などのグローバル統括担当者が、グローバルガバナンスについて重要なミーティングで海外の子会社にやってくる。海外子会社のスタッフがそう聞くと、

・グローバルガバナンスについて知り尽くしている
・ダイバーシティ&インクルージョンの深い見識を持っている
・英語でのファシリテーションの豊富な経験を持っている

そのようなスペシャリストが来る、と予想します。それだけ、海外子会社をまとめたり、説得したり、チームビルディングする仕事というのは、専門性が求められる仕事ですから。

しかし、実際にやって来るのは、英語がなんとかビジネスレベルで通用するというだけの人材や、過去に海外留学したり、海外駐在の経験があったりで、海外の常識をちょっとは知っている程度の人材だったりします。

「おいおい、グローバルガバナンスのプロがやって来ると思ったら、英語がちょっとしゃべれるだけの素人かよ!」といった感じです。それじゃあ、話もちゃんと聞いてくれないでしょう。

これが、かなりの規模の日本企業でも実態であったりします。
これまで日本企業が、グローバルな環境で組織をマネジメントできる人材というものを育てて来なかったわけですから、仕方がありません。いざ、グローバルガバナンスの担当者をアサインしようとしても、英語ができる人材、海外経験がある人材を探すだけで精一杯なのですから。

「英語の議論についていける」で満足していては、グローバルリーダーにはなれない

外国人との議論における日本人のプレゼンスを、私の印象で、以下の図のように5段階に分けてみました。

Understandは論外として、グローバルなビジネスの現場では、最低限でもContributeしているレベルでないと相手にされません。
しかし、グローバル統括担当など、グローバルでリーダーシップを発揮すべき人材に求められるのは、Influence, Lead the processするレベルです。そうでなければ、職務的には素人同然ですから。

もっとも、日本本社の肩書を持って海外子会社に行く場合、それなりに丁重に扱ってくれますから、実感値としては、Lead the processしていると感じるかも知れませんが、実際には、せいぜい頑張ってContributeあたりが、今現在のグローバル統括担当を担う人材の実態ではないでしょうか。

Influence, Lead the processができるためには、独自の視点で論理的に思考して、それを伝える力、そしてファシリテーション力が必要です。
ここでの伝える力は、日本語、英語を問いません。日本語でもいいので、しっかりと自分なりの視点を持ち、論理的に考え、相手にわかりやすく論理的な構造で話す。この力をしっかりと鍛える必要があります。
私の経験では、英語がある程度話せる人で、英語で論理的な説明のできない人というのは、日本語でも論理的な説明ができていません。

今後グローバル展開する日本企業が、海外のグループ企業、パートナーに対してプレゼンスを高めていきたいと思うのであれば、その最前線に立つ人材を、プロとして育成するための投資を怠ってはいけません。
一生懸命英語の特訓をするだけではなく、論理的思考力を高め、ダイバーシティ&インクルージョンの知識を深めさせ、英語でファシリテーションできるスキルを身につけさせることは、最低限のたしなみと言えるでしょう。

「グローバル統括担当らしいけど、当然英語でファシリテーションぐらいできるんだよね?」
と問われたら、
「当然だろ。じゃなきゃ、ここにはいないよ。」
ぐらい返せるようにしたいですね。

関連記事

POST CATEGORIES

UPCOMING EVENTS

ページ上部へ戻る