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30分のデモ・ファシリテーションで学ぶグローバルミーティングの進め方7つのポイント “グローバル人材育成なら英語でファシリテーションでしょ? Vol.9

当社が主催する、英語で学ぶファシリテーション “SPOTlight on Facilitation” における30分デモ演習の進め方をもとに、実際のグローバルミーティングの進め方をアドバイスします。

1.基本準備:3Os(Objective, Output, Outcome)とAgendaを書き記す

英語で学ぶファシリテーション “SPOTlight on Facilitation” では、2日目に、チーム別に30分のデモ・ファシリテーションを行います。
与えられたケースをもとに30分の会議の進行をデザインし、他の受講者を会議参加メンバーに迎えて、2~3人のコ・ファシリテーションスタイルで、30分で結論を出す会議のロールプレイをやるわけです。
実際のケースは、30分で議論して結論を出すには少しムチャブリな感じですが、議論の進行プロセスそのものは、実際にそのテーマで会議をやるものに適用できるものですので、少し早送りしながら凝縮して会議をやるイメージです。
ですので、デモとはいえ、実際の会議進行のデザインも、議論のファシリテーションも、皆さん真剣に取り組みます。

30分のデモをどう進行するか、デザインが終わり、いざ、デモを始める際に、まず準備とするのが、3OsとAgendaを写真のように、フリップチャートやホワイトボードなどに書き記して、会議室内に掲示しておくことです。



このシリーズコラムでも過去にお話していますが、会議には3つのOが必要です。
Objective:議論の目的
Output:議論の成果
Outcome:議論の後のビジネスの成果

この3Osが決まれば、それに沿って議論の進行、Agendaをデザインします。
そして、それを会議のスタート時に参加者ときちんと共有し、腹落ちさせることが必要です。
3OsとAgendaは、パワーポイントのスライドなどをプロジェクターに表示してもいいのですが、会議中はずっと、3OsとAgendaが見えるようにしておくことが大事なポイントですので、フリップチャートやホワイトボードが好ましいでしょう。

会議中、参加メンバーが常にこの3Osを意識することで、今の議論がOn trackなのか、Off trackなのかが、全員に共有しやすくなります。
また、Agendaに時間割も書いておけば、全員がタイムキーパー役を果たすことができるでしょう。

2.Context(前提/背景)の説明:なぜあな方はここにいるのか

30分のデモの最初では、3OsとAgendaの説明の前に、参加者役のメンバーに、Context(前提)の説明をします。
デモ・ファシリテーションでは、受講者がファシリテーター役と参加者役を持ちまわりで演じるのですが、各デモでそれぞれケースが違います。ですので、参加者役が、どこの企業のどんな立場の人なのか、どんな背景があって、この会議が招集されたのか、つまり、ロールプレイとしてどんな役を演じるのかを、最初に説明しなければなりません。

これは、デモに限らず、実際のファシリテーションでも同じです。実際の会議では、参加者は、自分がどんな立場かを知っており、なぜ自分が今会議室にいるのかを知っているはずです。「はずです」と書いたのは、前者については、疑う余地はありませんが、後者の「なぜ自分が今会議室にいるのか」については、怪しいところが多いからです。
本来は、自分が会議に呼ばれた背景を知っているのが当然ですが、「ただ定例会議だから」、「ただ、オマエも出ろと言われたから」というのが、日本の場合、往々にしてあります。
実は、海外でもそういうことは多々あります。

特に、日本本社が招集するグローバルミーティングでは、召集した側と、召集された側の意識のギャップが大きいことがよくあります。ですから、今一度会議開催の背景を腹落ちさせる必要があります。
デモ・ファシリテーションでは、このContextの説明を3分でやります。3分で人物設定から背景まできちんとわかりやすく説明しないといけないので、けっこうなプレゼン力を求められます。
でも、それを3分で説明できるようになれば、実践でとても役に立つでしょう。

3. 3OsとAgendaの説明:私たちは何を成し遂げるのか

次に、3OsとAgendaの説明に入ります。ここで重要な点は、まず3つのOの違いをきちんと認識してもらうことです。3Osは、このように言い換えることができるでしょう。

Objective(議論の目的):この会議室で何を成し遂げるのか
Output(議論の成果):会議の目的を達成したことが目に見えてわかる成果物
Outcome(ビジネスの成果):会議室を出た後に、会議室で決まったことを実行して、ビジネスの現場で何を成し遂げるのか

このように考えると、
Outputは具体的で、定量的、あるいか測定可能なものが必要だな
Outputが適性かどうかは、それを使って、Outcomeを達成できるのかが目安になるな
 
と、参加メンバーに共有され、互いにチェック機能を果たすことができます。

4. 大事なことは紙に書く:特に日本人はこれが大事

実際の議論は、ほとんどの場合は、ファシリテーターの問いかけによって始まります。ファシリテーターが会議の中で話す会話のほとんどが「問いかけ」と言っていいでしょう。
いかに有効な問いかけをして、議論を誘発するかが大事です。ファシリテーターの最初の問いかけ次第で、その後の議論がエンゲージメント高く、創造的に進むかどうかを左右すると言っても過言ではないでしょう。

このときに「どんな問いかけをするか」も大事ですが、「問いかけがちゃんと伝わる」ことも同じぐらいに大事です。
日本人がグローバルミーティングで苦労するのは、時折、英語でしゃべったことが正確に伝わらないことがあることです。
趣旨さえ伝われば、細かいところまで正確に伝わらなくてもいい会話も当然あります。しかし、ブレインストーミングを始めるために練り上げられた問いかけなどは、ちょっとした表現のとらえ違いがあるだけで、問いかけの効果が大きく変わってきます。
それを防ぐためにはどうすれば良いのか。シンプルな解決法は、紙に書くことです。もともと海外のファシリテーターの多くは、自分が問いかける質問や、作業の内容、強調すべき重要なキーワードなどをあらかじめ紙に書いて用意している人が多いです。

特に英語が母国語でない日本人は、自分の言いたいことを正確に伝えるために、写真のように、重要な質問、作業の内容、大事なキーワードなどを、紙に書いて掲示するといいいでしょう。



正確に聞き取れていても、肝心なところを忘れてしまったり、勝手な解釈をしたり、ということは往々にしてあります。紙に書いて掲示するのは、英語で正確に伝えるだけでなく、重要なキーワードきちんと見える化して残しておくことにもなるのです。

5.問いかけに工夫する:大喜利のように思わず答えたくなる問いかけ

次に「どんな問いかけをするか」ですが、ビジネスにおける将来の姿を明確にする、という目的の会議があったとして、
「今から3年後のビジョンをどう考えますか」とダイレクトに聞いても、もちろん間違いではありませんが、そこはファシリテーター、参加者が楽しんで思わず答えたくなるような質問を工夫したいところです。

たとえば、
3年後をイメージしてみましょう。あなたの会社が業界でもっとも影響力を持ったとき、人々はあなたの会社についてどのように表現するでしょうか?

とか、あるいはもっと凝って、
さあ、デロリアンで未来に出かけましょう。未来の世界であなたの会社を見た時に、何を目撃しますか?
とか、



未来のあなたの会社を見たマーティ・マクフライがひと言「・・・・・」
とか。

なんとなく大喜利っぽい感じですが、こういうちょっと凝った質問をMagic Wand(魔法の杖)Questionなどと言います。何かを考えさせる、ちょっとユニークな視点で考えさせる、制約を大きく取り払う、文字通り、魔女の魔法の杖のごとく、ドラマチックな変化をもたらす質問の意味です。
このように、答えるのがおもしろくなるような問いかけをできることが、ファシリテーターの大きな価値の一つです。

私は個人的には、会議でなかなか意見が出ないのは、意見がない、会議に消極的、意見を出せる雰囲気ではない、といったことより、意見を求める際の質問が、ただ単につまらないことが、もっとも大きな要因ではないかと思っています。
ファシリテーターは、グローバルミーティング大喜利の司会になったつもりで、ワクワクする問いかけを心がけたいものです。

6.セッションの節目を明確に:ゴールの修正も思い切って判断

30分のデモ・ファシリテーションを、Agenda上では3~5のセッションに区切って進めます。1つのセッションが5~10分ですから、かなりの駆け足での進行になります。30分のデモでそれをやり終えるには、進行の工夫が必要です。
短い時間でセッションのゴールにいかに到達するかも大事なのですが、その前にセッションの区切りを明確にすることが必要です。
これからのアイデア出しのセッションは5分です、あるいは7分ですと、明確に時間を指定することと、残り時間のアラートを示すことは当然ながら、今から次のセッションに入ります、ということを明確に宣言しないと、参加者は今どこにいるのかがわからなくなります。

よくデモ・ファシリテーションを見ていて、ファシリテーターには進行が頭に入っているので、今どこにいるかが明確なのですが、参加者は、Agendaを見ているとは言え、ファシリテーターほど、全体のプロセスに注意を向けていませんでの、時々迷子になってしまっていることがあります。
ですから、ファシリテーターは、各セッションの節目で、全体のプロセスの中で今どこにいるかを再度認識させておく必要があります。

もう一つ、プロセス進行で重要なことは、予定通りにいかないときです。これは、実際の会議でもそうですが、いくら2~3時間と、余裕のある会議時間を持っていても、予定通りに進まず、当初設定したゴールに到達しそうにないときが、多々あります。
そんなときに、ただズルズルとその場の状況に流されていては、ファシリテーターの価値がありません。
ファシリテーターは、全体の進行を見ながら、ゴールへの到達度合いを推し量り、参加メンバーに、時間内でどこまでに到達するのか、ゴールの再設定を提案し、了解をとらなければなりません。
もちろん、予定どおり行くことがベストですが、私の経験では、予定通りにいく会議の方が圧倒的に少ないです。
結論の中身を提案するのは、ファシリテーターの仕事ではありませんが、進行の仕方を提案するのはファシリテーターの仕事です。我々は、グローバルファシリテーションで、
Content Neutral
Process Assertive
Context Rich
というキーワードで、ファシリテーターの立ち位置を表しています。意見や結論には中立であるが、進行は積極的に引っ張る。また、背景情報はできるだけ詳しく知っておく、という意味です。

7.まとめ:ファシリテーターが、おしいいところを持って行かない

さて、30分のデモの最後はClosingで、ファシリテーターが議論のふりかえり、まとめをするわけですが、実際の30分のデモ演習では、最後はギリギリで、じっくりまとめる時間がなく、「それじゃ、このような結論が出たということで」と、終わることが多いです。
議論が予定通り進行し、当初目論んだゴールに見事到達していれば、わざわざファシリテーターが「まとめ」をする必要性もないのですが、ここでのファシリテーターのまとめの役割は主に以下の4つです。

A.議論の流れと、決まったこと、決まっていないことを再確認する
B.宿題が残っている場合は、宿題についての取扱い方を決める
C.議論を通した学びをふり返る
D.ゴール未満のものを少しだけ編集して、ゴールに近づける

Aは、そのまま議論の流れをふり返ることになるので、そんなに難しくないでしょう。
Bのように何か宿題が残ったとき、本来、ビジネスの成果のために会議に参加したと考えると、やはり宿題についても見届けるのが、ファシリテーターの役割であると、私は考えます。
少なくとも
・いつまでに
・誰が
・どんなアプローチで
宿題に取り組むのかを、はっきりさせてから、会議室を出るようにしたいものです。

また、私は、ゴールに到達した、しない、に関わらず、議論をすることで、常になんらかの学びがあると信じています。ですから、その学びについても共有できればベストです。それがCです。
その場合、参加者に何が学びであったかを問いかけ、参加者に定義してもらうのが、まずは原則です。どうしても、参加者から学びがシェアされなったときは、ファシリテーターである私自身が、学びについて触れることがあります。
そのときに気をつけていることは、「あなた方はこういう学びがあったはずです」とお話するのではなく、「私自身、こういう学びがありました」と、私自身の学びをシェアするようにしています。

最後に、Dの「ゴール未満のものを少しだけ編集して、ゴールに近づける」ですが、これはかなり微妙で、やり過ぎると、ニュートラルという、ファシリテーターの大原則を踏みはずしてしまうことになります。
たとえば、Vison Statementを「動詞形で締める」としているにも関わらず、動詞になっていないなどといった場合は、「これは、動詞にするとどうなるでしょう?」、「『魅力ある製品』の後には、生み出す、創り出す、と言った言葉がはいるでしょうか?」と言った具合に、編集すべきポイントを示すように、私はしています。
重要なことは、最後の最後で「ファシリテーターがおいしいところを持っていく」という形にならないことです。
ファシリテーターが最後に示すべき価値は、参加者の貢献に光を当て、参加者の成功、成長をともに祝福することなのです。

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