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オンラインで会議には発想の転換が必要。「ながら会議」OKで生産性はグッと上がる アフターコロナのファシリテーション Vol.2

2020年3月以降、コロナの影響でオンライン会議が定着し、テレワークも普通の風景になってきました。これまでのリアルでの対面のコミュニケーションが、オンライン、リモートのコミュニケーションに変わり、私たちも戸惑いながらも少しずつそれを新しい日常として受け入れるようになってきました。

今後コロナが収束したあとも、リモートやオンラインでのコミュニケーションがビジネスにおいて大きな割合を占めるだろうことは、論を待ちません。

それでは、そのような状況でのコミュニケーションの取り方、協働の仕方、チームビルディングのあり方とはどのようなものなのか、そしてチームの協働を促進するファシリテーターの役割はどのように変わっていくのか、これまでの経験をふまえながら、私なりに考察していきたいと思います。

オンライン会議にオフライン会議と同じ効用を求めるのはやめにしよう

今回は、オンライン会議のあり方について考えたいと思います。コロナでテレワークが促進され始めた2020年3月ごろは、とりあえず会議をオンラインでやってみようか?というところから始まり、最初はいろいろとぎこちないところがありつつも、徐々にオンラインの環境に慣れてきて、いろんな会議プラットフォームも使いこなせるようになり、気がついたら、今は当たり前のように毎日オンライン会議をやっている、という方が多いのではないでしょうか。

あまりにも会議を簡単に招集できるので、会議の頻度がコロナ以前よりも圧倒的に増えてしまって、最近はオンライン会議疲れだという方もおられるでしょう。

オンラインでいろんなことが再現できるのはいいことですが、オンラインコミュニケーションやリモートワークの恩恵を最大限に生かすためには、少し発想を転換して、会議という営みを根本的に見直してもいいのではないでしょうか。

オンライン会議の運営について、あらゆる職場のリーダー、ファシリテーターと議論している中で、不安や困り事としてもっとも多く挙げられるのは、

会議参加者のレスポンスや表情がうまく読み取れない中で、どうやって会議参加者のエンゲージメントを高めれば良いか

というものです。

私もたくさんのオンライン会議を経験していますので、この不安はよくわかるのですが、これはやはり、オンライン会議に対して、オフライン会議と同じ効用を求めてしまうことからくる問題意識だと思います。

私は最近、オンライン会議に関しては、

・そもそも会議参加者のレスポンス、表情をちゃんと確かめる必要はない

・会議にエンゲージメントされていないメンバーがいても別にかまわない

と考えています。

会議の物理的な要件からすべて開放されるのが、オンライン、リモートワーク環境の本当のベネフィット

そもそも会議の物理的な要件は、

・複数の人が

・同じ時間に

・同じ場所に集まって

・一定時間を費やす

というものです。

この物理的な要件はそのまま

・複数の人が ⇒ 会議に参加しなくてもいい人までが

・同じ時間に ⇒ 自分の仕事の忙しい時間帯に

・同じ場所に集まって ⇒ わざわざ会議室まで足を運んで

・一定時間を費やす ⇒ ムダに時間を費やす

と、そのまま会議の非効率性を生む要因になっているのです。

このような会議を単純にオンラインに代えても

・同じ場所に集まって ⇒ 自分の好きな場所で、前後の移動時間がない

という場所の要件が改善されるだけで、あとの非効率的な部分は同じです。

私はここ数カ月、あるお客様と毎週定例のオンラインミーティングを開きながら、プロジェクトを進めています。プロジェクトチームのメンバーは概ね6名。概ね6名というのは、メンバーが流動的なところがあるうえに、定例ミーティングに参加する人数も日によって変わるからです。さらに、そのうちの一人は、常にカメラオフで、プロジェクトが始まって3か月経とうというのに、私は未だにその人の顔を知りません。

まさにバーチャルチームです。私は当初その状況に慣れず、とてもやりにくかったのですが、徐々に慣れてくると、そのような状況が意外と生産的だと気づいてきました。

そもそも何らかのプロジェクトを進める際に、プロジェクトチームのメンバー全員が毎回会議で顔を合わせる必要はありません。その日のトピックによってはあまり関係がないメンバーもいます。そんな人が会議で時間をムダに過ごすぐらいであれば、自分のタスクをやってもらっていた方が生産的です。

また、会議に必要な人であっても、会議時間の100%参加している必要があるかというと、そうでもありません。大事なことを決める瞬間だけいてくれればいいという場合もあります。

オフライン会議の場合、自分にあまり関係ない時間帯は退席するとか、他のことをやるとかいうことは、なかなか難しいものです。自分に関係ないからと言って、スマホをいじっていたりするのが視界に入ると、やはり他のメンバーは気分の良いものではありません。

一方、オンライン会議でカメラとマイクをオフにしていれば、実際にその場にいて会議の内容を聞いているのか、離席しているのか、他の仕事をしているのか、他のメンバーにはわかりません。わからないものは、気にもなりません。

ながら会議OKの方が実は生産性は高かった

これは、オンラインだから可能な、会議の新しい活用の仕方と言えると思います。会議にずっと集中するほど自分には重要ではない、しかし、何か関係のあるトピックが出てきたらいつでも参加できるように、ビデオ会議システムにはつないでおいて、みんなの議論は聞こえるようにしておく。自分は、マイクとカメラをオフにして安心して他の仕事をしている。

そのような参加の仕方があってもいいと思います。

オンライン会議では、必ずカメラをオンにさせるべきという会議主催者もいますが、私はむしろ「ながら会議」OKというスタンスでやる方が、オンラインの恩恵をより享受できると思っています。

実際に、オンライン会議参加者にマルチタスクをやってもらうことで生産的なことも多いです。私がお客様と取り組んでいるプロジェクトでは、メンバーそれぞれに専門・責任領域があります。会議で、全員で何かを議論しているときに、Aさんの専門領域のことでもう少しデータが欲しい、というときには、会議の途中でAさんに自分の仕事に戻っていただき、リサーチなどをして、30分後に再び会議室に入ってもらって、新しい情報をシェアしてもらう。あるいは、30分間中断して、各自が自分のタスクをやって、もう一度それを持ち寄る、なんてこともやっています。

オンラインの場合、個人のタスクと協働作業のスイッチが一瞬ででき、成果物の共有もやりやすいので、全員がマルチタスクをしながらの会議というのが、とても生産的なのです。

協働は会議である必要はない。自分のすき間時間を使って時間差で協働できるのがリモートワークの良さ

また、これまでは、企画会議と称して、全員が集まってブレーンストーミングしていたものを、作業プラットフォームを共有し、そこに、自分の空いた時間にアイデアを付け足したりしながら、徐々に形を作っていく、ということもしています。

その場で議論しながら全員でアイデアを出し合うことで、徐々にイマジネーションが広がっていくという効果もあるのですが、共有する成果物に時間差で手を加えていく協働作業の方が、気づきも多く、より熟成された成果物ができることが最近よくあります。

ブレーンストーミングでは、

外部からの刺激 ⇒ 刺激を自分なりに考察 ⇒自 分なりのアイデアをアウトプット

という風に人間の脳が働き、他者の意見から新しいアイデアを生み出すサイクルが生まれます。全員で一度に議論するブレーンストーミングでは、このサイクルを短く、数多く回すことで、いろんなアイデアを生み出そうとします。

一方、リモートワークでは、一つ一つのサイクルに時間をかけますので、外部刺激から自分へのアウトプットがより熟成されたものになり、形になりやすいことがあります。

扱うトピックによって違いますが、リモートで分散型のブレーンストーミングというのも、意外に生産的なケースが多いなというのが実感です。

全員が同じ時間を共有しなくとも、自分のすき間時間をうまく使って協働作業を進めることができるのです。

オフライン、リモート環境をうまく使うことで、これまで「会議」という営みで取り扱われていたタスクを思い切って個別・分散型の協働作業に切り替えてみてはどうでしょうか。

(文責:株式会社ナレッジサイン 吉岡英幸)

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