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プレゼン力向上トレーニング Vol.3 コンパクトに説明することとは、まずは、どのようなカテゴリーの話かを相手に理解させること

今回は、「人間の理解とは分類である」という考え方をベースに、人間は物事をカテゴリー化して理解する、という観点で、わかりやすい説明の仕方を考えてみたいと思います。

AI(人工知能)研究で高名な松尾豊先生が書かれた「人工知能は人間を超えるか」という本で、「人間の理解とは分類である」というお話がありました。これを聞いて、なるほどと思いました。

たしかに、我々人間は複雑なことを理解しているのですが、基本的には機械と同じ0か1かの分類を細かく複合的に組み合わせて概念として理解しているのです。
そう考えると、わかりやすい説明とは何か?というのも見えやすくなります。

人間の理解は分類である。常に物事をカテゴリーに分類して理解している。

まず、人間の理解が分類であるということが機能するためには、分類可能な程度に、分類する対象について知識があるということが前提になります。

ある写真を見て、ネコかそうでないかの分類をするためには、ネコがどういうものかを知っておく必要があるわけです。

人間と会話することの便利なところは、人口知能とは違って、いちいち訓練データで学習させなくても、人間は既にさまざまな学習をしていますので、「これはネコです」と言えば、ネコとそれ以外を瞬時に分類できるところです。

ですから、ネコは知っているけれど、シャム猫がどういうものか知らないという人には、まずは、「シャム猫とはネコの一種です」と伝えることで、自分の知識にある「ネコ」というカテゴリーの中のものだなと理解でき、イメージしやすくなるのです。

それをもし、ネコの一種であることを伝えずに、ビジュアルを細かく説明しようとしたらどうなるでしょうか。話を聴いていると、だんだんと「動物らしい」とはわかってきても、なかなかネコはイメージできないかも知れません。あるいは、描写の仕方がまずいと、「植物?食べ物?」と思うかも知れません。

実は、話が伝わりにくい人の説明というのは、こんな感じなのです。シャム猫を説明するときに、まずネコであることを伝えずに、いきなり細かい部分の描写をしてしまうのです。

カレーライスを知らない人に、キーマカレーの詳しい説明は通じない

たとえば、キーマカレー(ライス)とはどのようなものか理解するときに、人が理解する構造は、下図のように、大きなカテゴリーから小さなカテゴリーへと、おおまかに分類を絞り込んでいく感じです。

 

もし、キーマカレーを知らない人でも、カレーライスを知っている人なら、カレーライスとしての一般知識はありますので、キーマカレーと他のカレーライスを分類する情報、キーマカレーの特徴を知ることで、キーマカレーの概念を理解できます。

説明が上手でない方は、最初に「カレーの1種です」と言わずに、一番小さな円、「挽肉を使っている」、「汁気が少ない」、「野菜はみじん切り」と言った細かいことを説明します。

聞いている方は、最初よくわからないのですが、だんだんと「それってカレーライスのこと」と、一つ上のカテゴリーに気づきます。そして、細かい情報とカレーライスの概念とを組み合わせて、初めてキーマカレーが理解できるのです。

でも、「それなら先にカレーライスと言ってくれればわかりやすいじゃない!」となります。

一方、カレーライス自体知らない人に対して、このような、細かいことにフォーカスした説明の仕方をするとどうなるでしょう。

たとえば、「汁気が少ない」という説明は、カレーライスとは基本的に汁気が多いもの、という前提を含んでいます。「挽肉を使っている」は、通常は牛肉とか、豚肉とか、鶏肉なのだけど、キーマカレーでは、挽肉を使っているという理解のさせ方ですし、「野菜はみじん切り」という説明も、通常野菜が使われていて、野菜の切り方が特徴の一つとなる、という前提に立っています。

つまり、カレーライスとはどういうものかを知っているからこそ、分類できる説明なのです。しかし、カレーライスを知らなければ、分類ができません。

常に1つ上のカテゴリーに気を配って話す

細かい点の説明、ミクロな説明というのは、誰しも無意識のうちに、その1つ上のカテゴリーについて知っていて初めてわかるような説明が多くなっています。

話のわかりにくい人というのは、カレーライスのことをそもそもわかっていない人に対して、キーマカレーが他のカレーライスといかに違うのかを一生懸命説明してしまうのです。

そして、相手がわかっていないようだと感じると、さらに細かいキーマカレーの特徴を説明しようとして、よけい相手を混乱させてしまうのです。

私は、説明力・プレゼンテーション力の研修で、多くの受講者にお会いしますが、説明が上手でない人の傾向として、「今ひとつ相手に話が伝わっていないな」と感じると、ミクロな情報をとりあえずたくさん付け足そうとするところがあります。

そんな人に私がいつもアドバイスするのは、自分が今説明しようとしているものの、1つ上の大きなカテゴリーに気を配って話をしましょう、ということです。

キーマカレーについて説明したいのであれば、上図のように、まずは、キーマカレーにまで絞られるカテゴリー分類をおおまかに4つぐらい描いて、その順番で相手に理解してもらうことを考えます。

そして、キーマカレーについてうまく伝わっていないなと思ったときに、キーマカレーではなく、その1つ上の「カレーライス」について相手が理解しているかを確認して、その理解を深めるようにするのです。

説明がうまくいかないときは、細かい情報の付け足しではなく、小さな話から大きな話、ミクロからマクロへと、常に1つ上の階層の大きなカテゴリーの方に注意を向けましょう。

(文責:株式会社ナレッジサイン 吉岡英幸)

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