日立システムアンドサービス主催
人事/労務管理リーダーのための「ヒューマンキャピタル研究会」 第13回 |
| テーマ |
ダイバーシティがもたらす人財価値
「多様な人財を活かすワークスタイルの変革とは」 |
| 日 時 |
2010年 7月 29日 |
| 参加者 |
人事/労務管理部門のリーダー、マネージャーの方 7名 |
| 主 催 |
株式会社日立システムアンドサービス |
| ファシリテーター |
株式会社ナレッジサイン 吉岡 英幸 |
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日立システムアンドサービスでは、人事/労務管理のリーダーの方にお集まりいただき、人事/労務管理に関する互いのナレッジを交換いただく、「ヒューマンキャピタル研究会」を、2008年7月より、定期的に開催しております。
2010年度のヒューマンキャピタル研究会では、「人財価値(パフォーマンス)を最大化するための人事/労務ミッションとは」をキーフレーズとして、さまざまなテーマで議論をしてまいります。
7月29日に開催した研究会では、ダイバーシティがもたらす人財価値について議論しました。その模様を本レポートにてお伝えいたします。
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| ◆まだまだ比率が低い女性の雇用・昇進の機会 |
今回のテーマはダイバーシティである。ダイバーシティ、つまり人材の多様性とは、女性の活躍、外国人の採用、シニア世代の活躍など、属性としての多様性を高めることと言える。今回の研究会で、多様化の対象として全員が一番に挙げていたのが、「女性の雇用・昇進の機会の増加」だ。
具体的には、女性の従業員比率と管理職比率を上げることだ。
では、現状はどのようになっているのか。厚生労働省が2007年に、従業員30名以上の企業約6000社に対して調査した統計資料によると、係長相当職以上の女性管理職(役員を含む)を有する企業割合は66.6%であり、その中で、係長相当職以上の管理職(役員を含む)全体に占める女性管理職の割合は6.9%であった。絶対数としていかにも少ないという実感だ。
実際に研究会参加企業に聞いてみると、女性管理職の比率では、2.2%〜6%の間であった。業種によって従業員の男女比率が異なるが、やはり女性管理職の比率は圧倒的に少ないと感じる。
いずれの企業も、この状況はアンバランスなものと考え、比率を高めることを経営からのオーダーとして示されている。ただ、研究会参加企業の中で、明確な数値目標を持つ企業はなかった。
女性管理職比率が低い要因を考えるに、業種によっても異なるが、まず採用時から男女比率がアンバランスになっている。流通業では比較的女性比率が高いものの、IT業界では女性比率は低い。もっとも、IT系の職種の場合、コンピュータサイエンスを学ぶ男子学生の人口比が圧倒的に高いため、応募時点でアンバランスが生じている。
男女雇用機会均等法のもと、あらゆる職種において雇用機会は男女平等なはずだが、実態としては、男性偏重の業種や職種は依然として多い。
ただ、最近の新卒採用の傾向としては、女子学生の方が男子学生よりも選考に残ることが多くなっているとのことだ。ある企業では、ここ数年新卒採用の男女比が逆転し、女性の比率の方が高くなっていると言う。これらは公平に能力を判断した結果だ。
また、流通業などでは、意識的に女性の従業員比率を増やしたり、女性管理職を増やしたりしている。主な顧客層となる女性の心をつかむためにも、女性の力を活用することは必然となる。
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| ◆育児をしながらの就業を支援する制度の充実 |
さらに、入社後、女性の場合は、結婚・出産という理由から離職する確率が高くなる。
特に出産・育児による離職を防ぐためには、育児休業などの就業支援のしくみが必要になる。研究会に参加していた企業はすべて育児休業制度を設けており、育児休業の取得は積極的になされている。また、短時間勤務制度など、育児と仕事を両立させながら働き続けることを支援する制度も充実し、積極的に取得する風土も生まれている。
ただ、短時間勤務制度では、雇用の機会は保証されるが、キャリアにとっての不安が伴う。短時間勤務では、実際には業務の幅は制限され、高い業績を残すことは難しくなる。加えて短時間勤務である事実も相まって、短時間勤務を続けながら昇進することは実際上困難となる。
また、配偶者に対する育児休業の制度も存在はしているものの、取得は実態としては難しい。女性の就業支援のためには、当事者の育児休業だけでは不十分だが、今の一般的な職場風土では配偶者の育児休業取得のハードルは高い。
育児をしながらの就業を支援する制度については、これら既知の問題を考慮しながら設計・運用をしていかなければならない。一方、育児をしながら働く環境はいろんな要素に影響され、実際の利用者の声を聞くことで、就業支援には何が重要なのかに気づくことも多いと言う。
たとえば、本社の移転によって通勤ルートが変わることで、これまで利用していた保育所が使えなくなる。
また、子供が小学校に上がると、学童保育で預かってくれる時間が短くなるため、これまでよりもさらに短時間の勤務が必要となるのだ。
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| ◆ビジネスと採用市場のグローバル化によって増えてくる外国人の採用 |
研究会参加企業の中では、外国人の採用に積極的な企業も多かった。一つは、製造業における海外生産や、システム会社におけるオフショア開発など、ビジネスの現場がグローバル化していることだ。業務の必然性を伴う外国人採用だ。
一方、国内の新卒採用でも、昨今では応募者の中には必ず留学生が含まれる。応募学生の比率から言えば、何人かの留学生を採用してもおかしくない。実際に、選考をしていく過程で、業務の必然性とは関係なく留学生を採用した企業もいた。
外国人のように異なった文化を持つ人材をマネジメントするには、いろいろと課題も多い。価値観の違いが原因で、これまでのマネジメントスタイルが通用しないことがある。ただ、これは世代間のギャップでも同じことが言える。
既に、世代という属性で人材が多様化している現在、これまでのマネジメントスタイルがそのままでは通じないことの方が多い。ダイバーシティの議論を待つまでもなく、ビジネスの現場ではチェンジマネジメントが求められている。
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| ◆人材の質の多様化 |
属性としての多様化だけでなく、人材の質としての多様化も議論になった。
企業のビジネスも多様化する中で、人材に求める質が変わってきたことと、金太郎飴式に一様な人材を集めて総合力を強化するのではなく、多様な質の人材リソースを結集して、多面的に企業価値を高める考え方に変わってきたと言えるだろう。
あるIT系企業では、これまで全員一律同じ尺度で評価する採用基準だったものを、一定の部分は一律の基準で評価するが、それ以外は、各人の持つ特殊性を評価する採用基準に変更した。リーダーシップに秀でている人材、フォロワーシップに秀でている人材など、優秀な人材像も多様化させたわけだ。
また、合併をしたある企業では、合併前の各社の採用基準が異なっており、同じ人材にそれぞれの採用基準で評価すると、まったく逆の評価が出たことがあった。そこで、共通の基準をつくる一方、各社の評価基準も尊重し、結果的に多様な質の人材を採用する方向に持っていった。
人材とはそもそも多様なものである。今あえて、ダイバーシティ、多様化というキーワードが謳われるのは、一つには属性としての偏りがあった事実と、人材の評価の仕方が、これまでいかに一様なものだったのかということの裏返しと思われる。
多様な人材をマネジメントできることが、これからの企業の価値を高める条件と言えるかもしれない。
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| (文責:株式会社ナレッジサイン 吉岡英幸) |
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