説明力・プレゼンテーション力研修事例【株式会社チェプロ様】

株式会社チェプロ様は、独自開発した建設業向け統合化ERPシステムから、帳票・BI・Web開発システムまで幅広いソリューションを提供している企業です。「知恵」を「プロデュース」するというコンセプトのもと、常に新しい領域にチャレンジしています。

そんなチェプロ様では、毎年全社員を集めた研修会を実施しています。会社のビジョンを再確認し、親睦とスキルアップの機会としています。
ナレッジサインでは、2016年、2017年と、チェプロ様の全社イベントで研修を提供させていただきました。その中でも、説明力・プレゼン力の研修内容をレポートいたします。

●お客様:株式会社チェプロ様
●代表者 代表取締役 福田 玲二
●事業内容
ソフトウェアのコア技術および開発ツールの開発・販売
基幹業務システムの設計開発・販売
トータルシステムコンサルティング
●本社
〒160-0023 東京都新宿区西新宿8-1-2 PMO西新宿10階
●研修実施:2016年5月
●対象:約20名
●目的:あらゆる職務のスタッフのスキルアップ・自己啓発として、説明力・プレゼンテーション力を強化する

 8文字で専門用語を説明する

この説明力・プレゼンテーション力の研修は、受講者全体を4~5名のグループに分け、各演習では、グループの中で一人ずつ、与えられた課題についてのプレゼンテーションを実施し、他のグループメンバーからフィードバックを得るという形で行いました。

最初の演習では、「8文字で専門用語を解説する」というものを実施しました。
各受講者に、任意で何らかの専門用語を挙げてもらい、それをカタカナ8文字以内で説明していただくのです。
最初は「8文字なんて・・」皆絶句するのですが、以外と8文字でニュアンスが説明できたりします。ここで、重要なことは、
・カテゴリーを示す
・特徴的な要素をピックアップする

ということです。

たとえば「ファシリテーション」という言葉は、コミュニケーション・スキル関連に詳しくない人にとっては、まったく未知の言葉です。食べ物のことなのか、場所の名前なのか、機械の名前なのか、何のことかわかりません。ですから、まずは「スキルの話」である、「会議に関係する話である」と、おおよそのカテゴリーを示すのです。
人間の理解というのは、基本的に「分類」していくことです。大宇宙の中のさまざまな概念の中から、「食べ物」⇒「果物」⇒「バナナ」といった風に、徐々にカテゴリーを狭めていき、概念を絞り込んでいきます。
ですから、まずは、どんなカテゴリーの話なのかを示すことが大事です。そして、その中でも特徴的な部分に焦点を当てます。
ファシリテーションという専門用語を8文字で説明すると、たとえば「カイギノベンリヤ」という説明が可能です。この中には、

カイギ=会議にという場面に関することであるというカテゴリーを示す
ベンリヤ=会議を便利にするという役割に焦点を当てる

という、2つの説明の要素が入っています。



そのようにして、8文字という非常短い文章で、その用語の持つ、核となる意味合いを伝えるのです。

1分間で映画を解説する

次に「映画を1分で説明する」という演習を実施しました。これについては、詳しく説明したページが別にありますので、こちらも参照してください。
映画の説明では、以下の3つのパートからなら構成で説明していただきました。

・舞台設定
・主人公(中心人物)のキャラ設定
・基本的な展開(結末/メッセージ)

受講者は、各パートでどのようなことを説明するのか、説明する内容を、短い文章やキーワードで、まずはポストイットに書きます。そうすると、各パートごとに説明のポストイットが数枚、全体で10枚前後のポストイットが準備されます。それが、1分間の説明のシナリオになります。それらを写真のように、ボードに貼って各自説明していきます。
ですから、聴き手も、ポストイットのシナリオを共有しながら、内容を確認することができます。

 


このようなポストイット使用のメリットは、編集しやすくなることです。ポストイットの枚数を増減させることで、時間の調整ができますし、また、削除したり、付け足したり、入れ替えることもできます。
自分のトークのシナリオがとても編集しやすくなるのです。

何か、出来事について話すとき、話を大きく3つぐらいの構成で組み立てると良いでしょう。映画というものは、ほとんどがこの3つの構成で作られています。
このうち、「舞台設定」、「主人公(中心人物)のキャラ設定」というのは、映画のストーリーを楽しむための前提知識になります。
どんな映画でも、「こんな舞台設定に」、「こんな境遇、特徴の主人公が登場する」という設定を理解することで、その後のストーリー展開に感情移入できるのです。
映画そのものは、起・承・転・結で語られますが、観客に理解させようとしているのは、この3つの構造です。ですから、短い時間でストーリー性のあるものを説明しようとすると、起・承・転・結ではなく、この3つの構造で説明する方がわかりやすいのです。

参加者も楽しみながら1分間で説明します。
プレゼンターが説明する映画を、聞き手がまったく観たことがない場合、ときどき、プレゼンターの説明で、「えっ?なんでそうなるのかな?」と素朴な疑問を抱くことがあります。
これは、ストーリーを理解するうえでの前提となる、舞台設定や主人公のキャラ設定の説明が不足していたり、曖昧だったりするためです。
「アナと雪の女王」について、姉と妹が、お互いを思い合っている関係か、反目し合っている関係か、舞台設定、主人公のキャラ設定の説明によっては、理解がまったく異なり、そうなると、ストーリーの説明もスンナリと理解できなかったりします。

論理的なつながりで説得力を高める

演習の最後は、「提案・提言」をする演習です。ここでは、ニュース解説、新聞の社説のようなロジックのフレームワークを活用します。

・事実の説明
・事実に対する気分なりの切り口
・主張/提言

という構成です。

新聞の社説などは、なんらかの事象に対して、各紙が自社の意見を主張する場所です。しかしながら、新聞ですから、まずは報道内容をおさらいして、事実を客観的に述べます。その後に、いきなり主張はしません。いったん、自社なりの切り口を示します。
・どのような情報をもとに論じるのか
・どのような事実に焦点を当てたか
・どのような側面でとらえたか
・どのような判断基準で考えたか

いったん、客観的な切り口を示した後で、その切り口で見えた結果を示し、それをもとに主張するのです。
たとえば、紙コップを真横から見るのと、真上から見るのとでは、見える形が違います。真横から見た場合、台形のように見えますし、真上から見た場合、丸く見えます。
まったく異なる見え方をしているものの、対象は同じ紙コップです。つまり、自分がどの角度から見ているのかを明確に示すことで、相手と見え方が異なっていることを納得してもらい、その後に来る主張に説得力を持たせるのです。
 

本演習では、参加者に、自由にテーマを選んでいただき、自由な切り口で主張・提言を論じていただきました。
この演習でも同じようにポストイットを使って、プレゼンのシナリオを作りました。今度は、少し順番を変えるだけで、説得力がグンと増してきたりすることがわかります。
また、切り口が曖昧になっているところを、切り口を説明する言葉を追加するだけで、全体のつながりが違ってきます。
前述の紙コップの例では、真横から見たのか、真上から見たのかに言及せずに、「台形だ」、「丸だ」と主張してしまっては、水掛け論になりますが、どの角度から見たのかを明確にすれば、たとえ自分が相手の角度から見ることができなくても、「そういう見え方もあるのかな」と、相手の視点を疑似体験したことになるのです。

グループメンバーのさまざまなプレゼンテーションを見ることで、いろんな視点を知るという、集合研修のメリットを取り入れた学びの機会となりました。

 説明力・プレゼンテーション力研修については、お気軽にお問合せください

 

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